第一章
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夫婦で些細に
牧瀬由貴は娘の小雪が高校に合格してもその生活は相変わらずだった、とにかくやたら寝ていた。
それで娘の小雪にもこう言われた。
「寝るの本当に好きよね、お母さん」
「いつも言ってるけれど趣味で生きがいよ」
由貴は夫の帰りを待ちつつ共に夕食を食べている娘に答えた。娘にしても部活と通学で帰宅の時間はかなり遅くなっている。
「それこそね」
「他に趣味はあるわよね」
「雑誌読んでゲームして」
「それでもよね」
「まずは何といってもね」
「寝ることね」
「一日最低九時間は寝ないと」
それこそというのだ。
「お母さんは駄目なのよ」
「やれやれよ」
小雪は自分とは全く違う母の金髪とハーフ独特の顔立ちを見つつ口をへの字にさせた。
「そのままずっとお婆さんになるのね」
「そうよ、それでお婆さんになってもね」
「寝るのを楽しむのね」
「そのつもりよ」
「寝過ぎるとぼけるわよ」
「それがぼけないのよ、脳細胞をそれだけ休めてるから」
寝ていてというのだ。
「かえってぼけないのよ」
「そうなの」
「だからお婆さんになっても寝るの」
「そうしていくわ」
「やれやれね。けれど家事は全部ちゃんとしてパートにも出て」
それでもやることはやっているのだ、由貴は起きている時はちゃんと働くタイプなのだ。
「しっかりしてるし」
「いいでしょ」
「ええ、ただ私そこまで寝られないわよ」
母の様にはとだ、小雪は夕食の豚の生姜焼きを食べつつ言った、おかずは他には人参を刻んでシーチキンや卵と炒めたものもある。
「お母さんみたいには」
「私の娘なのにね」
「というかお父さんの血よ」
小雪は母に返した。
「お母さんの血じゃないわよ」
「そうよね、お母さんがよく寝るのはね」
「お祖父ちゃんの血よね」
「オーストラリアのお祖父ちゃんよく寝るから」
由貴の父である彼はというのだ。
「その血でね」
「お母さんよく寝るのね」
「よく寝てよく動くよ」
まさにという言葉だった。
「オーストラリアはね」
「そうしたお国柄なの」
「あんたのお祖父ちゃんが言うにはね」
そうだというのだ。
「豪快でワイルドでね」
「細かいことにはこだわらないの」
「そうしたお国柄のせいかね」
それでというのだ。
「お祖父ちゃんもよく寝るのよ」
「それでなの」
「そう、お母さんもなのよ」
「寝るのが大好きなのね」
「何よりもね」
それこそというのだ。
「寝てれば幸せよ、それに寝てるならお金使わないでしょ」
「どうして使うのよ」
寝ていてとだ、小雪は母に少し憮然とした顔になって返した、母の小柄な自分と比べてずっと大きな身体も見つつ。
「寝ているのに」
「そ
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