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百杯
第一章

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               百杯 
 大阪のある百貨店では毎年恒例で東北フェスティバルが行われている。東北各県の名物を売るというものだ。
 その中で毎年わんこそばの店も出ている、森岡名物の料理だが。 
 関順三、高校では相撲部に入っていて大食漢で知られている彼は友人達にその大柄で太っていると言っていい相撲部特有の身体で宣言した。
「わしわんこそばのお店行くで」
「行くんか」
「そしてあの蕎麦食うか」
「そうするんやな」
「そや、目指すはや」
 それこそというのだ。
「大台突破や」
「百杯やな」
「百杯いくんやな」
「それを目指すんやな」
「勿論百杯を超えてもな」
 さらにというのだ。
「食ってくで」
「そうするか」
「ほな頑張って来い」
「百杯食うて来い」
「是非な」
「そうするわ、ほなな」
 友人達に宣言してからだ、そのうえで。
 関は友人達にさらに言った。
「その日行く前にやることやってくわ」
「やること?」
「それ何や」
「何する気や」
「それで」
「準備体操みたいなもんや」
 関はここで笑顔になった、そのうえでの言葉だった。
「それをしてからな」
「わんこそばのお店行ってか」
「そうして食うんか」
「それで百杯いくか」
「そうするんやな」
「そうするわ、絶対に百杯食う」
 関はその目を鋭くさせて再び宣言した。
「その為にな」
「準備体操するんか」
「そうするか」
「一体どんな準備体操や」
「どんなことするんや」
「それは見てのお楽しみや」
 関は再び笑った、そしてだった。
 彼は日曜にわんこそばの店を開いている難波の駅前にある百貨店に行くことにした、友人達もその彼の奮闘を見に行くことを約束した。だがその前にだった。
 彼は部活に出てだ、そのうえで。
 いつもの激しい稽古を行った、四股を踏み走りそうしてだった。
 相撲のうっちゃりをしてとかく激しく身体を動かした。この日の部活が終わるとだった。
 彼は昼食を食べずにだ、行く場所は。
 スーパー銭湯だった、そこに向かう彼に彼のわんこそばを食べるのを見に行くことにしていた友人達が訪ねた。
「おい、何や」
「風呂に行くんか?」
「スーパー銭湯に入るんか」
「そうするんかいな」
「そや、さっきのは準備体操の第一段階や」
 関は友人達に笑って話した。
「そして次はな」
「第二段階か」
「部活はわかるわ」
「部活で身体動かしてな」
「腹減らしてやな」
「よおさん食える様にしたんやな」
「それでお昼はわんこそばや」
 まさにとだ、関は話した。彼は友人達と共にスーパー銭湯の中に入り今は脱衣場で服を脱いでいる。友人達も付き合いでそうしている。
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