第五章
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「けれどね」
「能面はないわよ」
「幾ら何でもね」
「それはね」
「あまりにも不気味だから」
「能面は怖いのよ」
「異様にね」
かぐらが着けていた能面のことを言うのだった。
「だからよ」
「皆見てびっくりしたのよ」
「あんまりにも怖いから」
「それでなのよ」
「ああ、だから皆私見てなのね」
かぐらも驚かれていることは自覚していた、しかしそれでもだった。何故驚かれているのかはわからなかったのだ。
「それでだったのね」
「そうよ、というか能面はね」
「冗談抜きに怖いのよね」
「見ているとね」
「もう不気味でね」
「異様な位にね」
「それはね」
ここでかぐらはその能面のことを話した。
「人間の内面を描いてるからよ」
「だからなの」
「能面って怖いの」
「あそこまで」
「凄く不気味なのね」
「ええ、普通の仮面よりもね」
こう友人達に話した。
「それでなのよ」
「それでだったの」
「あそこまで怖いのね」
「前から能面は怖かったけれど」
「その怖い理由がわかったわ」
「人間の心の怖い面が出ているからなのね」
「能はそうしたことも表現するから」
その芸の中でというのだ。
「能面にも出るのよ」
「そういうことね」
「いや、勉強になったわ」
「そうしたこともね」
「しかしね」
ここでだ、クラスメイト達は能面のことを話してくれたかぐらに今度はこう言ったのだった。
「何でその能面着けてきたのよ」
「それが理解不能なんだけれど」
「どうしてなの?」
「どうして被ってきたのよ」
「日本だから」
日本の服を仮装で着たからだというのだ。
「それでって思ったから着けたけれど」
「いや、それはないから」
「能面さっきお話した通り怖いから」
「そりゃ皆見たら引くわよ」
「能面着けた人がいきなり校内に出没したら」
「インパクトあり過ぎて」
「面白いと思ったけれど」
かぐら本人は平然とさえしている、その表情も口調も。
「駄目なのね」
「面白いじゃなくて怖いから」
「仮装は礼装と烏帽子だけにして」
「冗談抜きで能面は怖いから」
「見ているだけで」
「だからね」
「わかったわ、着けないわ」
かぐらもこのことを約束した、そしてだった。
能面を礼装の懐の中に収めた、そうしてクラスメイト達にあらためて話した。
「じゃあ今からね」
「ええ、パーティーに出ましょう」
「もうすぐはじまるし」
「踊りましょう」
「高校最後の文化祭ももう終わりだから」
それ故にとだ、かぐらは微笑んで話してだった。
クラスメイト達と共にパーティーの中に入った、そうしてそれぞれの相手とダンスを楽しんだ。それか彼女にとって高校最後の文化祭の中で最高のものとなった。
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