第四章
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「な、何あれ」
「光源氏の服?」
「いや、古今和歌集じゃないの?」
「それで何?」
「能面って」
「何で能面なの?」
「能面なんて着けてたら」
平安時代の礼装だけならよかった、それなら陰陽師なり古典なり言えた。だが。
能面、そのえも言われぬ不気味な迫力のせいでだ。皆が驚いて引いていたしかぐらの友人達もだった。
その能面を被った礼装の何者かに驚いていた、しかもその如何にも怪しい者は。
彼女達のところに来た、全員それで思わず逃げそうになったが能面の奥から言われた。
「どうかしら」
「えっ、その声は」
「かぐらちゃん?」
「かぐらちゃんなの?」
「そうなの?」
「そうよ」
ここで仮面を外した、するとだった。
かぐらの顔が姿を表した、日本の礼装に烏帽子がよく似合っている。ここで皆驚きを止めてふう、と似合っているが故の嘆息を漏らした。
そして友人達もだ、彼女に言った。
「あっ、いいじゃない」
「似合ってるわ」
「それでパーティーに出たらね」
「いいと思うわ」
「かなりの高得点よ」
「そうなのね、どんな衣装にしようかって考えたけれど」
かぐらは友人達と周りの言葉に笑顔で応えた。
「そう言ってもらって何よりよ」
「ええ、その服と烏帽子はね」
「よく似合ってわ」
「履きものまでちゃんとしてるし」
「いいと思うわ」
「ただね」
もう騒ぎの中心でなくなったかぐらにだ、友人達はさらに話した。
「けれど何でなの?」
「何で能面なの?」
「能面被ってきたの?」
「皆びっくりしてたじゃない」
「私だってそうだし」
「だって仮装っていったらね」
かぐらはその友人達に答えた。
「仮面舞踏会とかあったじゃない」
「ああ、昔の欧州で」
「フランスとかでね」
「よくやったわね」
「そうだったわね」
「それでね、私もしようと思って」
それでというのだ。
「和風の衣装っていったら」
「仮面も?」
「和風にしようって思って」
「それで能面なの」
「そうなの」
かぐらは淡々とさえして答えた。
「そうしたの」
「そうだったのね」
「まあ確かにね」
「仮装って仮面も多いわね」
「怪人二十面相だってしてたし」
「仮面被ったアニメや小説のキャラも多いし」
「ある意味お約束だしね」
友人達もこのことは納得した、しかし。
それと共にだ、彼女達はかぐらに怪訝な顔でこうも言った。
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