178部分:第十二話 朝まだきにその四
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第十二話 朝まだきにその四
それを言ってだ。王はまた話した。
「それは今進められている」
「そしてですか」
「戦争ですか」
「それなのですね」
「プロイセンが戦う国は二つだ」
王はその二つの国についても述べた。
「一つはオーストリアだ」
「そのオーストリアですか」
「その国とですね」
「戦う」
「今ですね」
「そうだ、だからこそあの方はオーストリアと戦争をされるのだ」
ビスマルクについての敬意は言葉になっても出ていた。これは相手であるビスマルクも同じだ。彼にしても王に敬意を持っている。それを言葉に出すのも御互いなのだ。
「そうなのだ」
「必要だから戦争をする」
「そういうことですか」
「ドイツ統一に必要だから」
「それでなのですか」
彼等もだ。何故ビスマルクが戦争をしたがるかわった。それは決して戦争が好きだからではないのだ。
「統一に必要だからこそ」
「それで戦争をする」
「あの方は戦争が好きではなかったのですね」
「別に」
「それはわかっておくといい」
王は話す。
「あの方は政治として戦争をされるのだ」
「戦争は政治ですか」
「クラウセヴィッツですね、まさに」
「それですね」
こう話すのだった。
「プロイセンは戦争をする」
「あの方も」
「そうですか」
「その通りだ。まずはオーストリアと戦う」
こう話す。
「そしてだ」
「もう一つですか」
「プロイセンが統一の為に戦う国はありますか」
「そうなのですか」
「そうだ、ある」
オーストリアだけではないとだ。王はそのこともわかっていた。
「その国はだ」
「何処ですか、その国は」
「ロシアですか」
「それともイタリアですか」
周りはそういった国を挙げていく。何処もドイツを囲んでいる国だ。
「何処でしょうか」
「一体」
「フランスだ」
王は曇った顔で話した。
「あの国だ」
「フランスですか」
「それでは神聖ローマの頃と同じですね」
「そうですね」
「そうだ、同じだ」
王はその通りだと話した。そうだとだ。
「それは変わらない」
「ドイツとフランスの対立はですね」
「その構図は欧州において普遍なのですね」
「ハプスブルクとヴァロアからだった」
両家がそれぞれドイツとフランスの主だった頃からなのだ。両国は何かというといがみ合ってきた。それが欧州の一つの対立軸なのだ。
「フランスはドイツが強くなれば必ず介入してくる」
「若しくは強くなる前にですか」
「その前にもですか」
「介入する可能性がある」
「そうですか」
「それを防ぐ為にだ」
王は遠い、だが確かな目で話す。
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