第四章
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「ではな」
「今より」
「提灯に灯りを点け」
「一気にですか」
「大黒屋の阿片と取り押さえ」
「そして五人男も」
「店の中に入った、今だ」
まさにこの時だというのだ。
「仕掛けるとしよう」
「それでは」
周りの者達も頷いた、こうして提灯に一斉に灯りが点けられてだった。大岡の采配一下即座に動いた。
「御用だ!御用だ!」
「南町奉行所であるぞ!」
「大黒屋、観念しろ!」
「阿片確かに見たぞ!」
まずは大黒屋の者達と阿片が囲まれた、こうして大黒屋の者達は捕らえられたが。
大岡は共に狙っていた五人男にも向かった、すぐに彼等が入ったと思われる店の中にだった。
大黒屋を抑えていない奉行所の者達を自ら率いて入りそうしてだった。
五人男を探し召し捕らえんとした、だが店の何処にもだった。
五人男と思われる者達はいない、いるのは大黒屋で店の留守番をしていた者達だけだった。その者達も捕らえさせたが。
五人男はいない、それで大岡は何故かと思っていると。
すぐにだ、彼は言った。
「屋根上だ」
「店の屋根上ですか」
「五人男はそこに逃げたのですか」
「我等が来たと知ってすぐに」
「そうした、おそらく銭も盗んでいる」
逃げる時に共にというのだ。
「だからな」
「これよりですな」
「店の屋根上に上がり」
「五人男を捕らえますか」
「そうしますか」
「そうする、では行くぞ」
その屋根上にとだ、大岡は言ってだった。
実際に屋根上に奉行所の者達の中でも剣や手裏剣や弓矢に自信がある者達を連れて上がった。だがその屋根上にもだった。
五人男達はいなかった、しかし大岡は大黒屋から一見置いた先の店に彼等を見た、見れば。
総髪の髷の四十の男、若い女の様な艶のある顔立ちの二十歳にもなっていなさそうな前髪立ちの男、総髪髷できりっとした顔立ちの二十代の半ば位と見える男、まだ元服もしていなさそうな前髪立ちの若い男に月代の髷を右に傾けた二十歳位の威勢のよさそうな男達がいた。大岡は彼等を見て言った。
「雲霧五人男であるな」
「如何にも」
四十程の男が応えてきた。
「それがし雲霧仁左衛門でござる」
「小僧六之助」
女の様な顔立ちの男が名乗った。
「素走り熊五郎」
総髪の男も名乗った。
「木鼠吉五郎」
若い前髪立ちの男が続いて名乗った。
「おさらば伝次」
最後に月代髷の男が名乗った、そして五人で言うのだった。
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