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翠碧色の虹
第三十四幕:夜華に舞う虹
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時崎「なに?」
心桜「お兄さんの名前って『ユタ』だよね?」
時崎「そうだけど?」
心桜「今さ『ベタ』って言わなかった?」
時崎「ああ」
店主「あいよ! お待たせ!」
時崎「どうも!」
心桜「こ、これは!?」

「ベタ」と言うと、名前ではなく、おせんべいの表面全てにソースを塗って青海苔を振りかけてくれる「ベタ塗り仕様」となる。

時崎「この『ベタ』が一番、お得な気がする!」
心桜「し、知らなかった!」
時崎「はい! 天美さん! 一枚どうぞ!」
心桜「わぁー! ありがとー! ベタお兄さんっ!」
時崎「んなっ!」
心桜「あははっ!」

やっぱり、天美さんの方が一枚上のような気がする。

心桜「笹夜先輩! 大判おせんべいどうぞ!」
笹夜「まあ♪ ありがとう♪」

天美さんは、高月さんに半分大判おせんべいを手渡す。俺も七夏ちゃんにおせんべいを半分に割って渡す。

七夏「ありがとです☆ これって」
心桜「ベタお兄さんからだよ!」
笹夜「え!?」
七夏「ベタお兄さん?」
時崎「天美さんっ!」
心桜「あはは! 言い間違い・・・ユタお兄さんでした!」
七夏「ユタお兄さん☆ ありがとです☆」
時崎「え!?」
七夏「くすっ☆」
心桜「お! 飴細工があるっ! つっちゃー!」
七夏「はいっ☆」

天美さんに手を引かれ、七夏ちゃんたちは飴細工店へ駆けてゆく。

笹夜「二人ともっ!」
時崎「まあ、楽しそうだから、多少はいいんじゃないかな?」
笹夜「走るとあぶないですから」

確かに、天美さんは走りやすそうな浴衣だけど、七夏ちゃんは気を付けなければ転んでしまうかも知れないな。

時崎「人も多いから、あまり離れないように気を付けないと」
笹夜「ええ♪」

俺がそう話したからかどうか分からないけど、高月さんは少し俺の傍に寄ってきた。その時−−−

ドンッ!

笹夜「きゃっ!」

突然、大きな音に驚いた高月さんは、俺の腕に掴まってきた。高月さんの表情を大きな華が照らし出す。

笹夜「すっ、すみません!」
時崎「高月さん!」

恥ずかしさと申し訳なさの混じった表情で見つめてくる高月さんに対して、俺は夜空を指差し見上げた。

時崎「俺じゃなくて花火!」
笹夜「え!? ・・・はい♪」

天美さんと七夏ちゃんがこちらに戻ってきた。

心桜「花火! 始まったね!」
七夏「はい☆ とっても綺麗です☆」

色とりどりの花火の光は、三人を様々な色に変えてくれた。瞳の色が変わる「ふたつの虹」を持つ七夏ちゃんを不思議に思っていたけど、色が変わる現象そのものは世の中に沢山ある。珍しがる事は、見方によっては差別に繋がってしまう。他人と異なる特徴を気にしてしまうのは、誰にだってあ
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