食事への誘い
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クワイルド大尉にお客さんだよ」
「……客?」
アッテンボローが背後を指さす様子に、アレスは疑問を浮かべ、首をかしげる。
一瞬ワイドボーンかと思ったが、入り口付近で直立不動の人物にアレスは眉をあげた。
クエリオ・アロンソ中佐。
現在では元の情報部に戻っている、数か月前までの上官の姿がそこにあったからだ。
軽い疑問を浮かべながら、アレスはアロンソの元に駆け寄った。
「すみません、お待たせいたしました」
「仕事中に失礼した。お邪魔だったかな」
「いえ。ちょうど休憩をするところでしたので、ご一緒にいかがですか」
「すまないな」
丁寧に謝罪する様子に、気にしないでくださいと首を振った。
ただでも朝から画面とにらめっこをしているのだ。
少しくらい休んでも罰はあたらない。
「少し出てきます」
元の席に戻り、ヤンとアッテンボローに声をかけた。
二人も同意見だったようで、どうぞゆっくりと声を出した。
許可を得て戻ろうとして、アレスは忘れていたとばかりに、脇に置いていたベレー帽を頭にひっかけた。
+ + +
艦隊司令部に備え付けられている喫茶店。
その片隅で、注文した紅茶が来るのを待つ間にひとしきり挨拶を交わす。
アロンソが元の情報部に戻ったのはわずか数週間前。
それまでは毎日のようにあっていたわけではあるため、久しぶりという印象はない。
しかしながら、数週間前とは大きく変わったこともある。
「大佐へのご昇進おめでとうございます」
つい先日に戦闘評価会議が終了し、参謀の人間は全員が七月末日付けの昇進が決定していた。その件については、アップルトンから直接聞いていた。
昇進の言葉にも、アロンソはさほど嬉しそうな表情は見せない。
いや、むしろ相変わらず表情が変わらないのだ。
そんな様子に、アレスは一瞬、士官学校の後輩を思い出した。
アロンソが女装すれば似るのだろうかと思ったが、生真面目なアロンソの女装姿を思い出しかけて、アレスは表情を硬くする。
危うく目の前で噴き出すところであった。
「ありがとう。だが、君も少佐に昇進――それに統合作戦本部長から直々に表彰もあるそうじゃないか。表彰式は来月だったか」
「ええ。そう伺っています」
頷いたアレスの前に、紅茶が置かれた。
注文を持ってきた店員が伝票を置いて、立ち去る様子を見送った。
一口。
「私は二階級でもおかしくはないと思っていたが」
「それは過分ですね。惑星一つを守れば、それも可能だったかもしれませんが」
「エルファシルか。同じくらい難しいことをやってのけたと思ったがね」
「かもしれませんが。今回の場合は助けてくださった方が多かったですからね。私一人では無理だっ
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