46話:要塞司令官
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いしたのか、攻勢を強める事を主張しだしたことが原因だ。
ガイエスブルク要塞の建設はあと3年は続く。資材価格が高止まりした中で攻勢を強めても余裕をもたせた戦力補充などできない。歯止め役としての転出だった。軍部には建国初期と、ルドルフ大帝崩御直後の40億人の反乱の資料が残っている。130億人の反乱などどうにもならないし、命を賭けて戦争に勝った先がそういう未来だと認識のすり合わせも軍上層部では完了している。
俺のイゼルローン要塞赴任は、ある意味この状況の保険ともいえる。叛乱軍との戦争で、消しきれない大敗を喫したダゴン星域をはじめ。もう一歩踏み込むにはさすがに最前線の補給拠点がイゼルローン要塞だけでは心もとない。仮に戦線を押し出すなら、どんな補給体制が望ましいかを立案することも、俺の役目になるだろう。
「中将に今更言うまでもないと思うが、前線の状況も知らずに好き勝手モノ申す者どもがおる。次兄のコルネリアス殿が軍務省に転出したのも、前進論を抑える為の人事だ。ただ、万が一前進するとしたらどんな体制が良いのかも検討してもらいたい。よろしく頼む」
「はい。その辺りは心得ております。もう一歩踏み込むとしてダゴン・アスターテ・パランティアのラインが戦線となりますが、そこまで踏み込むならイゼルローン回廊のあちら側に補給基地が必要になります。計画は作成しますが、帝国全体で考えれば入植できる訳でもなく、叛乱軍の補給線への負担を減らすだけですから、その辺りも含めて計画案を作成いたします」
おれは敬礼をし、副司令長官の答礼を待って、執務室を退出した。宇宙艦隊司令部を出て、地上車に乗り込みリューデリッツ邸へ向かう。イゼルローン要塞は最前線の入口だ。赴任中は戻ってこれないだろうから、色々と手配りしておきたい。
宇宙歴774年 帝国歴465年 4月下旬
首都星オーディン リューデリッツ邸
ワルター・フォン・シェーンコップ
「まもなく旦那様がお戻りになられるとのことです」
先ぶれが到着し、リューデリッツ邸は少し騒がしくなる。閣下からは話を聞いていたが、イゼルローン要塞の司令官に着任するとのことだった。今夜の晩餐が終わればしばらくはオーディンに戻れない。ご家族での晩餐に水を差してはいけないと思い、席をはずそうと思ったが、余計な気遣いはしなくて良い。とのことで、俺も今夜の晩餐に招待されている。赴任期間は短くても2年。大奥様はもう80歳を越えているし、一緒に過ごせる最後の機会になるかもしれないとお話になられていた。ご嫡男もご息女もまだ幼く、奥様も懐妊されている。こんな時期に前線への勤務を命じるなど、軍部の連中は無粋な連中だと怒りを覚えたが、よくよく考えれば、俺自身、閣下としばらく会えなくなるのが寂しいのだと自覚した。幼年学校に入ったばかりだし、さすがに
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