三十三日目
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「嘘ね。そのアルバムの発売日は四日後のはずよ?」
「はて、何の事やら」
灯俊はスマホを取り、フリックした。
「なんだよ、ハーレム野郎」
『ALO事件の話をもう一度聞きたいらしい。来てくれ相談役』
「はいはい…」
灯俊は本を戻し、図書室を後にした。
カウンセリング室
「入るぞ」
「待ってたよ灯俊君」
灯俊がキリトの隣に座る。
「それで、ただ二人だけの世界樹攻略者の片割れである君に聞きたい事がある」
「なんだ」
「君は世界樹の上で何を見た?」
「虚構を」
灯俊ははぐらかすように言った。
「俺達が斬り倒そうとしていた樹は、ただの虚構だった。
その為にゲームに心血を注いだ者、事情があって脱落した者。
須郷伸之は彼らを裏切った。俺はぜったいにあの男を許さない」
「………珍しいな。君がそんな真面目な顔をしてそんな事を言うなんて」
「そうかよ」
ケッと灯俊はそっぽを向いた。
「………俺だってさぁ、色々あったんだよ」
「色々とは?」
「彼女と別れたりとか…」
「「彼女!?」」
「うるさい叫ぶな」
灯俊は鬱陶しそうに言った。
「世界樹とか、それに関する構想とかで揉めてさ」
「え? は? 待ってくれ相談役。その彼女ってカールターナーさんか?」
「いや、慧奈は知らない。慧奈だけじゃなくて、葵も林檎も蜜柑も。
アイツとの事はだれにも話してないし話すつもりもない」
「お、おう、そうか」
「でー? ALO事件について他に何を聞きたいの公務員さん?」
「あー。うん。では………」
菊岡が二人にそれぞれのハイヴ攻略戦について尋ねた。
SAOサバイバーの視点とALO最古参プレイヤーの視点。
恋人を救いたかった者と真実を暴きたかった者。
「ところで、その攻略戦にはあの双子は出さなかったのかい?」
菊岡がふと尋ねた。
「あの時は後方要因だよ。メティとサンディは……うん…。あの時は出せなかったんだよ」
「理由を聞いてもいいかい?」
灯俊は顔をしかめた。
「あの二人には対人戦のトラウマがある。
エネミーがあそこまで人形で集団で襲ってくるのなら、外して当然だろう」
「無限PK……かい?」
「ああ。そうさ」
憎々しげに肯定した。
「「…………………」」
「林檎と蜜柑は今でこそ元気だが、あの当時はそれは酷かった。
俺と慧奈が報復を真剣に考え実行する程にな」
「具体的に、その報復を聞いていいかい?」
はぁ、と灯俊がため息をついた。
「いいぜ。話
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