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繰リ返ス世界デ最高ノ結末ヲ
03.過去語
ー双子と王様ー
過去語ー双子と王様ー 序章
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いる少女。長い前髪の奥から覗く瞳の色は、薄い赤。名を、ユリア・フィルスコート。

「彼奴は白猫の幹部よ、屹度ね」
「彼の"出来損ない"の黒華琴葉だよね」

 すると、一瞬だけ空気が重くなった感覚が起こり、二人の少女の瞳が見開かれる。
 次の瞬間、アリサの額には一本の淡い赤の角が、ユリアの額には一本の淡い青の角が生えていた。

「鬼を殺した罪、重いんだから……!」
「殺してやる……!」

 二人の少女はそう宣言し、唇をキツく噛んだ。



「あーあ。折角の人材が」

 再度生成されたビルの屋上の柵に腰を掛ける、一人の男。
 漆黒の外套に、赤い瞳。そして、鋭い牙。

「フラン様」脚までを覆う漆黒の外套を纏い、フードで顔を隠した男が、彼、フラン・レミナスの前に跪く。「其処は危険ですので、此方に」

「そう言う気遣いは必要無いよ。其れより、そろそろ調子に乗り始めた人間に、罰を与えないといけないから。皇子や貴族を揃えろ。近日中に、人間と戦争を為よう。此れは吸血鬼の王の命令だ。良いね?」

 フランは不敵に笑い、アリサとユリアの前に一瞬で移動する。人外なら、この位当たり前だ。

「っだ、誰!? ユリ、下がって……」

 前に出て咄嗟にユリアを庇うアリサ。だが、フランは笑みを浮かべたまま、「誰?」と言う質問には答えなかった。

「……答えないのね? でも、貴方吸血鬼ね? 私は彼奴を殺さなきゃいけないの! 目的が同じなら、力を貸してよ」

 第一印象は欲張りと言う感じか、そう小さく呟いたフランは、終始笑みを絶やすこと無く伝えた。


「丁度良いね。僕の目的も、彼奴を殺すことだ。協力しよう」


 吸血鬼のなり損ないと言われる"鬼"と、吸血鬼は、一人の人間を殺すことを目的として、手を組んだ。


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