06.そうだ、刑務所に逝こう。
最終話
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何時も通り目を開けると、左の肩にラル、右の肩にグレース、腕の中にフランさんが居て、少し離れた椅子で聖月さんが寝ていた。
ほら矢っ張り。何事も無いじゃないか。
さて、無事を確認したので、此のカオス状態を抜け出すために、出来るだけ優しく三人を退かす。………起きてないね、良かった。
で、如何なんだろう。此の世界は。
私の事が分かるのは、フランさん、ラル、グレース、聖月さん達八人のみ。
だけど、後一時間もすれば、聖月さん達は強制的に元の世界に戻る。そう言う契約だから。勿論、此の世界の記憶や、此の世界の人と関わった記憶は消える。聖月さんの能力も。
となると、後はフランさんとラルとグレースだけか。
まぁ、それはそれで良いかも知れないな。
また、彼等との思い出は一から作り直そう。屹度、また楽しい思い出が出来るさ。
私は窓を開け、窓枠に腰を掛ける。
後ろはもう何も無い。
「"未だ生きていたい"何て、私らしく無いじゃない」
ぽつりと呟き、私は脚をぶらぶらと揺らす。
「生きていたいって、一度も思ったこと無いのにね」
上半身を後ろに倒し、真上に浮かぶ満月を見る。
「誰かに恋して、一緒に居たい何て我が儘、出来る訳無いか」
躰を支えてた腕を窓枠から離す。
「お休み、皆」
重さに従って、頭から地面へ向かって落ちていく。
「有難う」
後三十秒。
「若し、私の願が叶うなら」
後十秒。
「私を、此の甲斐無い夢から」
後五秒。
「醒まさせて欲しいな」
漸く終点を見付けた。
「………い、おーい! って、あ。大丈夫かい?」
目を覚ますと、其処にはフランさんが居た。
如何やら私は倒れていたっぽい。躰を起こすと、痛む頭を押さえながら立ち上がる。
フランさんの後ろには、当たり前の様に"私が居て"、その後ろにレン達が居る。ラルとグレースも居た。聖月さん達も、葉月達も。
「って、君、琴葉君に随分と似てるね。………真逆、ドッペルゲンガー!?」
視界に映る前髪や後ろに垂らした髪は黒で、毛先が白くなっている。
姿は変わってい
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