第三章
第27話 面談 +登場人物紹介
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俺はどうやら最低でも千年以上は前の人間で、実際にあの建物が生きている頃を見ています。
俺は未来……いや、あなた方から見れば現代ですね。現代へ、タイムワープで来たようです。崖から落ちて、気絶して、目が覚めたらこの時代でした」
一瞬、沈黙が場を支配する。
なぜかその一瞬の静寂で、俺の頭の中には、この半年間の出来事が駆け巡った。
明らかにふさわしくないタイミングなので、それを押さえつけて頭を現実に戻す。
「……千年以上前となると、我々の知る歴史が始まる前だ」
「そうなりますね」
「証拠は……あるのかね?」
「証拠はこれから続々と出土されることになると思います。あとは、ここにいるクロも証拠かもしれません。神社に行けば像はありますが、現代に実物はいませんよね? 俺の時代には普通にいて、クロはうちのペットでした。クロは俺と一緒にこの時代に来たんです」
部屋に戻れば、壊れたスマホや腕時計、着ていた服などがある。だが、そこまでしなくてもよいと思った。
どのみち発掘が進めば、いろいろなモノが出てきて、証明されることになる。
今この場で無理して信じてもらう必要はないとさえ思っている。
そんな俺の考えは、表情にも出ていたのだろう。
ウィトスは大きくため息をついた。
「……そうか。嘘を言っているようには見えないな……」
再び沈黙。
ヤマモトは、呆然としたような感じでこちらを見ている。
ヤハラは切れ長の目を光らせ、厳しい顔でこちらを見ている。
対照的な表情だが、どちらも言葉を発しないのは一緒だ。
「……君は、西の国出身なのかと思っていた……」
「すみません。ずっと確証がなかったもので。はっきりしたのは遺跡を見たときでした」
「そうか……そうなると、大昔は今よりも文明が……なぜ……」
ウィトスはやや混乱しているような感じで、セリフの流れが変だ。
もしかしたら、国王から俺の素性を聞いていても、信じていなかったのかもしれない。
ヤハラが、ここで少しの休憩を提案した。
三人の参謀は一度席を外す。
俺もトイレに立った。クロにはそのまま待っているよう命じた。
戻ってきたウィトスらは、だいぶ落ち着いた感じに見えた。
話が再開される。
「できれば、一週間くらい落ち着く時間がほしいくらいだ。だが陛下の安全に関わってくる話だから、そんなわけにもいかない。私からはもう一つ質問させてもらうよ」
「はい」
「暗殺者を送ってきた勢力についてだ。君は報告書で、『暗殺者が所属するグループは、さほど大きな勢力ではないが、この国よりも高度な文明を持っていると思われる。そして何らかの事情で、この国が遺跡を発掘することを阻止したいと考えているようだ』と書いているね」
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