IFのIF やはり、魔物は魔物だ
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持つ男の顔が迫ったとき、ドラゴンキメラの人間の腕を振りかぶっていた。そこで自分の意識は一度暗くなった。
そして、次に目を覚ますと、これだ。
ドラゴンキメラは、腕を噛みちぎって食っていた。
ブチブチと肉の筋を歯で引っ張り、腹を空かした獣とは違って味わうように食っている。
何度か死んだが、魔物に食われて死ぬのは初めてだ。
死ぬのは慣れない。もう痛みとかは通り越してしまっている。
しかも完全には死んでないのに、食われているのを見させられるなんて、なんて悪趣味だ。
よくもまあ……、何か事情があったにしろ、人間をベースにこんなキメラをこしらえるなんて、これだから黒魔術はおぞましい。
リンは、もう魔力が尽きたのか、そして仲間が食われている光景に完全に腰を抜かしてしまったのか尻餅をついてガタガタ震えているだけだった。
ドラゴンキメラは、リンを襲う気がないのか、はたまた自分の肉がお気に召したのか無心で肉を食っているだけだ。
血が止まらない……。意識が遠のいてきた…。だが完全に死ぬまでにはまだ遠い。さっさとトドメを刺してほしいものだ。
「……この……、バケ…モ、ノ…め…。」
最後の力を振り絞って悪態をついてやった。
けれど、声が小さかったからか、ドラゴンキメラは、まったく話を聞いてなかった。
次に会ったら…、あんたの妹を殺そう。そしたら、あんたは、どんな顔をするだろう?
盾にしたときの顔は人間そのものだったくせに……。妹以外はどーでもいいのか?
っと言うか、あんた、バジリスクと大コウモリ、先に食ったんじゃないのか? まだ足りないのか? そりゃそんだけ身体大きければ胃も大きいか?
あー…、色々と言ってやりたいが、もう力が出ない……。
少しずつ暗くなっていく視界、けれど耳に、ブチブチくちゃくちゃと肉を食いちぎって噛む音がずっと聞こえていた。
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