IFのIF やはり、魔物は魔物だ
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「か、カブルー……。」
リンの震えている声が聞こえた。
カブルーは、霞む頭で自分に起こったことを思い起こそうとした。
ブチブチ、クチャクチャと、何かを咀嚼する音が聞こえてくる。
腕の感覚がない。というか、腕がない。
あと、身体が重たい。何かが胴体の上に乗っている。
赤い……竜の足だ。
思い出した。
そうだ、自分達は、再び迷宮に潜ったのだ。
ライオス…というキメラとなった男の妹、ファリンと別れた後の数週間後だ。
シュロー達は、島からいなくなった。
自分達は、自分達の目的のために迷宮に挑まなければならない。だからまた潜ったのだ。
二階の様子がおかしかった。
その時に気づいていればよかった。
アイツが……いることに。
突然だった。気づかなかった。
バジリスクと大コウモリの死体を見つけて立ち止まった場所の近くの木の上に、アイツがいたのに。
不自然な死体だった。
何かに襲われて、殺されて、食べられた形跡があった。
特に噛み跡が不自然だった。まるで人間が噛みちぎった跡のような歯形が残っていた。
クロもどこかで嗅いだことがある匂いがすると言っていた。なのに気づかなかった。
アイツが、二階みたいな浅い層まで移動したなんて考えなかった。
突然飛び降りてきた巨体。
鳥とドラゴンを合せたような、けれど人間の上半身を生やした異形。
人間の顔をしているくせに、感情がないみたいに無表情で自分達を見おろす金色の目。
まず真下にいたクロが踏み潰された。
ただでさえ足場の悪い二階で、巨体に似合わない素早い動きに自分達はついていけなかった。
尻尾がダイアを弾き飛ばし奈落の底に落とした。
リンに向かって行くドラゴンキメラ。そういえば、初めて遭遇したときもアイツは、他の魔物を使って魔法使い達を率先して襲ってきた。
他の魔物?
それに気づいたときには、ホルムが後ろから大コウモリに襲われた。
魔物の優劣や従う道理とかそんなものは分からない。だが自分達を食った相手に従うなど、やはり魔物は分からない。
リンが再度稲妻の魔法を使うと、ドラゴンキメラは、倒れた大木や枝を飛び回って避けた。
連続で稲妻を放っても同じ。巨体に似合わない素早さで稲妻を避けていく。
ホルムのウンディーネがあれば、多少はこちらが有利になれたかもしれないが、確かアイツ、魔法も使えたはずだったので、ウンディーネがいても意味は無かったかもしれない。
そうこうしている内に、ミックが吊り橋から落ちそうになり踏ん張ったものの助ける余裕が無くやがて落ちていった。
ドラゴンキメラがとんでもないスピードで飛んできて、金色の眼を
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