IFのIF 魔物食を勧められ
[2/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
成だ。」
「えっ?」
ヌッと後ろから大きな影現れ、剣士の冒険者が陰に覆われた。
「う、うわあああああああああああ!!」
「きゃあああああああああ!!」
仲間達が悲鳴を上げる。
まさかバジリスクかと思ったが、明らかに人間の声だった。
慌てて振り返ると、そこにいたのは……。
人間の男の上半身と、竜と鳥を合せたような巨体を持つキメラだった。
そういえば、ここのところ、こんな噂があった。
あらゆる階層に、人間の形を持つキメラが現れて、魔物を使った食事をありがた迷惑に勧めてくると。
「まさか…。」
「君達、腹が減ってるのか? ずいぶんとやつれてるみたいだが。」
「え、ええ…。」
魔物を使った料理を勧めては来るが、襲っては来ないとは聞いている。だが警戒は怠らずに返事をしていると腹の虫が盛大に鳴った。
それを聞いたキメラは、プッと吹き出した。
冒険者パーティーは、カーッと赤くなった。
「よかったら食べていくか? さっき仕留めたバジリシクを使えば仕上げられるんだ。」
「えっ? これ……あ、あなたの料理だったんですか?」
「ん? そうだけど?」
魔物にしてはあまりにも暢気だし、他の魔物と違って殺意がないように感じる。
しかしよく見たら、片手に首が折れたバジリスクを掴んでいた。
キメラは、ナイフを抜き、バジリスクの処理を始めた。
まず首を切って血抜き。
次に、別に沸かした鍋に湯を張って軽く茹でて羽をむしる。
「あの…、手伝いましょうか?」
「手伝ってくれるのかい? それはありがたい。」
怖ず怖ずと申し出ると、快く返事をしてくれた。
とりあえず、みんなでバジリスクの巨体の羽をむしる。すると、大きな鶏肉になった。
「うわぁ…、こう見ると大きいけど、普通の鶏に見える…。」
「そうだろ? じゃあ、蛇の方はあとでスープか、燻製に使おう。」
そしてキメラは、肉の一部を挽肉にして、どこから出したのかボールに入れて香辛料と調味料を加えて練り、肉団子にしてすでに何かの出汁が煮えている鍋に入れていった。
挽肉に混ざった油と香辛料が溶け出し、スープが一段と良い匂いになった。
もう口から垂れる涎が止まらない。
さらに、キメラは、茂みの中に隠していた歩きキノコの死体を出して、切り刻み、鍋に加えていった。
「最後に、バジリクスの卵を溶いて、かき回せば…。できあがりだ。」
バジリスクの卵を割って鍋に入れ、おたまでかき混ぜると、フワッと卵が浮く。
そしてできあがったバジリスクの肉団子スープを、これまたどこから出したのか分からない木の器に入れ、キメラは冒険者パーティーに渡していった。
「い、いただきます!
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ