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ダンジョン飯で、IF 長編版
第三十四話  夢魔の酒蒸し
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が、本で魔物を殴った。
 そして、魔物が光となって消えた。





***





 ファリンは、目を覚ました。
「おお。目が覚めたか。」
「一緒にうなされてたぞ。大丈夫かよ。」
「……なんとか。」
「ふああ〜〜〜。」
 その時、マルシルが目を覚ました。
 ボーッとしていたマルシルは、やがて寝返りを打ち…。
「二度寝するな!!」
「ダメ! 起きて、マルシル!」
 たたき起こした。
 マルシルは、寝ぼけたまま頭を押さえた。
 夢の内容については、よく覚えていないという。なんだか楽しい夢を見た気がすると言った。
「なんとか成功したみたいだね…。」
「何かあったの?」
「マルシル。枕貸して。」
 マルシルの枕をもらったファリンは、ナイフで枕を裂いた。
 そして小鍋の中に、二枚貝がガラガラと入った。
「それは?」
「これが夢魔。この貝が人の枕に潜んで悪夢を見せたりするの。それにしても、多いね。結構前から枕の中に入ってたのかも。みんなの枕も調べてみないと。」
「うそ……。」
「センシ。これ食べられないかな? ずっと味が気になってたの。」
「おお、もちろんだ。」
 そんな彼らを見て、離れた場所にいたイヅツミは、隙を見て逃げるかと見当した。
 そして、調理開始。

 まず、ゴミを吐かせるためにぬるま湯につける。
 するとアサリなどと同じアレが出てくる。
「この夢魔はね、別名シンといって、実は竜の仲間なんだよ。よく見ると竜っぽさがあるでしょ。」
「うそでしょ?」
 フライパンにバターを溶かし、夢魔を並べる。
 ワインを足し、蓋をする。
 そして火にかけ、夢魔の蓋が開くまで待つ。
 そして頃合いを見て、最後に醤油を足し…。
「完成じゃ。」
 蓋を開けると、夢魔の酒蒸しから、湯気と共に、何かの映像が宙に浮いた。
「これは?」
「あ! これ、私だ。」
「シンが食べた夢が蜃気楼になったんだよ。」
「なんだか思い出してきたかも。そうそう、私何かから逃げてたら…、一匹の犬が出てきて! その子と宝物を探す冒険に出るの!」
 実際、蜃気楼の映像もそうなっていた。
 ファリンのことは、まったく映していない。だがその傍らに、ライオスに少し似た人形が一緒に走っていた。
「面白い夢だったなー。」
「なんか…ファリン?っぽい犬か?」
「頭が悪そうだ。」
「どうした、ファリン?」
「……白銀のオオカミのつもりだったんだけど。まあ、いっか。」
 マルシルの悪夢が楽しい夢になることに貢献できたのだからと、夢魔を食べながら思ったのだった。
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