第三十二話 シェイプシフター
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深い日や吹雪の激しい日に野山を歩くと、同行者や家畜がいつにまにか増やす。
実はその増えた分が、シェイプシフターが化けたモノで、紛れ込むのだという。
「物騒な地元だな。」
「おとぎ話や噂程度で本物を見たことはないけど…。」
「妖精の類いなの?」
「ううん。違うと思う。」
「なんか悪さをするのか?」
「えっと…、気づかないまま寝ると、本物を食べてすり替わる。って、聞いたわ。」
「ぎゃー!」
「ちょっと!」
「はやくニセモノを見つけ出せ!」
ファリンの言葉で大騒ぎとなった。
しかし、すぐにニセモノは見つかった。
まず、ファリンだ。
「なあ…、そこの三人のファリン…。ニセモノってことでいいんじゃないか?」
「それも、そうだ。」
「魔物の知識がなさ過ぎるもんね。」
「えっ、そう?」
シェイプシフターは、生物の思考を読んで、その身近な者の姿を真似る。
そこにいる、三人のファリンは、つまりマルシルや、チルチャック、センシの記憶の中の自分なのだろうとファリンは分析した。
「…確かに。」
「よく見ると…。」
「みんな少しずつ見た目が違う。」
「……ような?」
まるで間違い探しだ。いや、間違い探しなのだが。
まず、マルシルの一人…顔が明らかに違うのを捕まえて牢屋に入れた。
「こいつと、こいつも明らかにニセモノだな。」
「……? どこが?」
「は!?」
「よく見ろ! 俺の首巻きは、マフラーじゃないし。」
「センシは、兜の穴がない。」
「…あ、言われてみればそうだね。」
「アレ…、絶対、ファリンの記憶の中の俺たちだろ。」
「うろ覚えがすぎる。」
ニセモノと判断された者を次々と牢屋に放り込む。
残りのニセモノ…、六人。
「このまま放置でいいの?」
「シェイプシフターは、人間のような知能があるわけじゃないわ。私達が何をしているかは分かってないはず。でも、さすがに傷つけたら反撃してくるだろうから、今のこの状況で未知の魔物と戦うのは避けたい。穏便にニセモノをあぶり出して! まとめて対処しよう!」
途端、場がシラーっとなった。
「勢いはいいんだけど…。」
「あいつに、ニセモノと本物の区別がつくかどうか…。」
「疑問だのう…。」
三人がヒソヒソと話し合っている様子に、ファリンは首を傾げたのだった。
***
「…うーん、こうして並べてみると、結構違いはあるんだけど…。こうしている間にもうろ覚えな部分が修正されていく。早く決着をつけないとまずいわ。」
「マルシルに至っては、全員髪型が違うぞ。」
「最後に見た時、どんな髪型だったか全然覚えてない。」
「うそ
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