第三十一話 ハーピーの卵の卵焼き
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そして、ファリンが笑顔で用意したモノ…。
「なんですか、コレ?」
「ハーピーの卵で作った卵焼き。」
ファリンは、にっこりと素敵な笑顔を浮かべてカブルーに卵焼きが乗った皿を差し出した。
えっ? これ、もしかして怒ってる?
カブルーの脳内に、まずハーピーの姿形が過ぎり、その次に、彼の生い立ちが走馬灯のように過ぎる。
カブルーは、幼い頃、地底から湧き上がってきた魔物に襲われ、家族失った過去があるのだ。それがカブルーが迷宮を攻略しようとする動機であり、ダンジョンを食い扶持にしている人間を嫌って殺す動機だった。
絶対に食べたくない!!!!
っと思い、大汗をかく。
だがファリンは、ニコニコしている。
その笑顔は、まるで邪気がない。だが見ようによっては背後に黒いオーラが見えなくも…ない気がする。
やっぱり、ライオス・ドラゴンキメラの盾にしたことを怒っているのでは!?っと考えるが、ついさっき責める気はないと言われたので、それはないかもという考えもあり、カブルーは、一秒間の間にグルグル色々と考えた。
そして。
「い、いただきます!」
「美味しい?」
「……。」
「よかったぁ。」
もぐもぐとハーピーの卵焼きを食べたカブルーがコクリッと頷いたので、ファリンは嬉しそうに笑った。
それを見ていたカブルーの仲間達は、『さすが、人の懐に入るためならなんでもする男…』っと、青い顔をして思ったのだった。なお、この後他のメンバーにも卵焼きを勧めたファリン。他のメンバーは、全力で拒否した。カブルーは、飲み込まず、ずっと噛んでいた。
その後、各自食事となり、それから、帰還の準備を整えることとなった。
マイヅルが書いた絵が地上に繋がり、シュロー一行と、カブルー一行が帰還する。
「正直…、俺は、君が狂乱の魔術師にたどり着く前に死ぬと思っているが……。万が一生き延びることができて、しかし黒魔術のせいで地上にも戻れなかった時…。」
「これは?」
シュローは、ファリンに、鈴を渡した。
「これを鳴らせ。遠く離れた、対の鈴と共鳴する。使いをやって東方へ逃亡できるよう手配する。」
「……。」
「死ぬなよ。」
「…言われなくても。」
そしてシュローが絵の中に入った。
「ファリンさん。」
そこへカブルーがやってきた。
「なに?」
「話せて良かった。」
カブルーは、ギュッとファリンの手を握った。
「今回一番の収穫でした。」
「…こちらこそ。」
「あの…、僕の名前、覚えてくれたんですよね?」
「カブルー君でしょう?」
「よかった。次は忘れないでくださいね。それじゃ、また。」
「?」
そう言い残して
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