第二十九話 ファリンとシュロー
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光の届かぬ場所で幽閉され、亡骸すら戻らない。西のエルフ達に知られれば、あいつが…、どんな目にあうか……。」
「迷宮の外に知られれば、でしょう? そして、あなたは、このことを誰にも話したりしない。…でしょう?」
「っ!!」
シュローがカッとなり、刀を抜いてファリンの肩に置いた。
「……あなたなら、どうしたの? 完全な骨になった兄さんを…、あなたなら、どうした?」
「……それは…。」
「いやー、ほんと。黒魔術なんておぞましいにもほどがある。」
そこにカブルーが言った。
「そこまでして蘇生するべき人だったんですか?」
そう言うと、ファリンとシュローがカブルーを見た。
「シュローさんが怒るのも当然ですよ。そんなまっとうじゃない方法使って生き返らせたって。リスクしかないじゃないですか。そのまま死なせた方が、その人にとっても…。」
「やめろ!」
シュローが怒鳴った。
「言いたいことは分かったから。それ以上はやめてくれ…。」
「……すみません。」
カブルーは謝った。
「あなたなら、同じ手段を選んだでしょうね。」
ファリンが言った。
「ファリン…。」
「だって、あなたは……。」
「ファリン! シュロー!」
そこへチルチャックが駆けてきた。
「まずいぞ! 調理組のところに魔物の群れが突っ込んで……。」
「……そうか。」
「今行くわ。」
「? おい、ファリン?」
「なに?」
「なにをしたんだ?」
さっさと出て行ってしまったシュローを目で追いつつファリンに聞いた。
「全部話したわ。」
「全部!!??」
「どうせ隠しても無駄だから。」
「どう見ても一番ダメだろー!!!!」
チルチャックが絶叫した。
「…元気出してください。彼も少し疲れているんですよ。」
「……違うわ。」
「っと言いますと?」
「怒って当たり前よ。私だって、もし彼の立場なら、怒ってたと思うから。」
「…そうですか。」
「それにしても、シュローが、諦めてなかったなんて思わなかった。」
「それは、どういう意味で?」
「彼はね…。兄さんのことを……。」
二人が部屋を出たとき、何かの笑い声が聞こえていた。
「ハーピー!?」
無数の人面鳥、ハーピーが、建物の屋根の上にいた。
シュローのパーティーメンバーや、カブルーのパーティーメンバーが戦っている。
待機しているマルシルのところに、チルチャックが来た。
「ねえ、チルチャック…、ファリンとシュローの様子が変なんだけど?」
「…あいつ全部話しやがった。」
「えっ!?」
「どうすんだ? あれが地上にバレたら俺達…。」
「分かってる。分かってるけど…。
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