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ダンジョン飯で、IF 長編版
第二十六話  ドライアドのポタージュ
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 地上への帰還宣言から、丸二日……。
 ファリン達は…。死にかけていた。
 道に迷って。
「お腹すいた…。」
「眠い…。」
「喉渇いた…。」
 ダンジョンが変動しているのだ。
 常に動き、そして……。
 頭上をあの小さな竜のようなものが通り過ぎた。
 慌てて壁の影に身を隠したので見つからなかったが…、あれは、魔術師の目だ。
「それにしてもなんだか街が…。」
 さらに追い打ちをかけるように、城下町に潜んでいた魔物達が戻ってきたのだ。
 レッドドラゴンがいなくなったため、なりを潜めていた魔物達が姿を現し始めてしまった。
「元々この階層は魔物が多いから…、今まで出会わなかったのは幸運だっ…、っっ!」
「ファリン! やっぱり治療魔法を使えよ!」
 腹を押さえてふらつくファリンを支えながらチルチャックが言った。
「ごめん…。私も魔力が尽きかけてるの。炎竜を倒すときに、ほとんどの魔力を使っちゃって…。」
「竜の首を切り裂いた、あの大技か。」
「一生に一度できるかできないかぐらいのだったから…。」
「そこまでの大技だったのかよ。」
 そんなファリン達を見ていたセンシは、悩んでいた。
 オーク達の住処から離れて以降、ずっと歩きづめで、オーク達から少しの物資はもらったが、正直な話、竜を食って以来ロクな食事を取っていなかった。
 ファリン(トールマン)の年齢はよく分からないが、チルチャックとマルシルはおそらく育ち盛りだろうとセンシは、見ていた。
 なんかして食わせてやらねばという、使命感がセンシに湧き上がる。
 その時だった。
「ん? 甘い匂いがする。」
「食べ物の匂いか?」
「や、花の香りみたいな…。」
「! 花が咲いている場所なら水場が傍にある、突き止めてくれ、チルチャック!」
「了解!」

 そして、駆け出した先にあったのは、草木が茂った墓場だった。
「ここは? …墓場か? 待て、誰かいる。」
 見ると、三人の裸の男女達がいた、彼女らの頭には草の冠がある。
 彼女達は、クスクス笑いながらお互いの口を…。
「いかん!!」
「はっ!?」
 その大声で、三人がこちらに気づき、表情を無くしてこちらを見てきていた。
「こ、これは失敬……。」
「おい、センシ、放せ!」
 次の瞬間、三人が襲いかかってきた。
「おおっ!?」
「センシ、下がって!」
 ファリンが剣を振り上げて、女性の一人を切り裂いた。
 切り裂いた瞬間、粉のような煙のようなものが吹き出した。
「なんだ……!?」
「武器を取って! 彼女達は…、ドライアドの花よ!」
「では…、この体液は…。」
 体液ではない。
 この微細な粒子は呼吸
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