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ダンジョン飯で、IF 長編版
第二十二話  黒魔術
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「完成!」

 ライオスの骨格、andワーグの骨格×2。

「…なんて言うか……、兄さん、綺麗な骨になっちゃって…。」
「カルシウムをしっかり取っているな。」
 涙ぐむファリン。センシは、綺麗な骨についてそう言った。
「なあ、これ…、ワーグも生き返ったりしないよな?」
「迷宮に縛られる魂は、ヒトだけ。じゃないと今頃、生命の魂でパンクしてるよ。」
 チルチャックの言葉にマルシルがそう返答した。


 そして、儀式が始まった。


 マルシルが、愛杖の下の方をほぐし根を縮れさせる。
 そして、魔方陣の中心にしゃがみ込み、フーッと息を吸って吐き、呪文を詠唱し始めると同時に杖の先を魔方陣の文字の上に置いた。
 すると、ボコボコと、レッドドラゴンの血が沸騰を始めた。
 ザワザワ、ヒソヒソと、何かの声が周りから聞こえてくる気がする。そして空気が冷たくなる。
 ズルズルと、レッドドラゴンの血と肉がライオスの骨を置いてある魔方陣に集まり出す。
 そして、骨を包み込むように蠢きだす。
 呪文が進むごとに、徐々に、骨がヒトの形を取り戻し出す。
 やがて、マルシルが倒れた。
「マルシル!」
「兄さん!」
 チルチャックがマルシルに駆け寄り、ファリンがライオスに駆け寄った。
「気絶してる…。」
 マルシルは、気絶していた。
 ファリンは、目をつむっている血まみれで裸のライオスに手を伸ばした。
 すると、パチリッとライオスが目を開き。
「げほっ、ゴホゲホ!!」
 っと、大きく咳き込んで、血を吐き出した。
「兄さん、大丈夫。血を吐いて。」
「……ゲホっ…。」
 横になって血を全部吐き終えて、ハーハーと呼吸するライオスが、涙目でファリンの方を見た。
「兄さん…。」
「ふぁ、…ファリン?」
 ライオスの金色の瞳がしっかりとファリンの姿を映し、ライオスがファリンの名前を言った瞬間、ファリンはライオスに抱きついた。
「よかった…。よかったぁ…。」
「…ファリン……、ちょっと待て!」
「えっ?」
 バッとライオスがファリンを離した。
「腕! どうしたんだ!?」
「あ、…これは…。」
 袖が裂けて、血の跡が大きく残っているファリンの左腕を見て、ライオスが狼狽えた。
「お前のために頑張った証だよ。」
「っ、チルチャック。」
「よお、久しぶりだな。一週間ぶりくらいか?」
 狼狽えていたライオスの頭を、ペシンッとチルチャックが叩いて微笑んだ。
「ライオス? ライオス!」
「あ、マルシル?」
「よかったぁ!」
 気がついたマルシルが駆け寄ってきた。
「俺は…、一週間も死んでたのか…。それにしても…。」

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