第二十二話 黒魔術
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、永遠に幽閉されてしまうことを。
そんなことを、親友であるマルシルにさせられないと、言いかけたとき、ファリンの目に、完全な骨となってしまった兄・ライオスの姿が映った。
「っ……!」
この状態では、通常の蘇生術では、失敗する可能性が高いことは誰が見ても明らかだ。
ファリンの目から、ポロポロと涙がこぼれ落ちた。
「マルシル…。」
「ファリン…。」
「責任は…、私が取るから…。」
「いいのよ。やるのは私だから。」
そう言って、マルシルは、ファリンを抱きしめた。
***
そして、黒魔術の儀式の準備が始まった。
まずマルシルが手のひらをナイフで切り、血を流す。
それを杖に伝わせて、タイルの上に文字を書いていく。
魔方陣と文字をレッドドラゴンの下に繋ぐように書いていく。
「まずは、少しでも体を元の形に近づけたいから、私がライオスの骨を組み立てるわ。」
「私も、犬の骨格が分かるから、私はワーグの骨を組み立てるわ。」
「……ん? それは別に必要ないだろ!」
「見落としや、取り違えを防ぐためだよ!」
チルチャックのツッコミに、ファリンがそう答えた。
そうして、骨の山から分別が始まった。
まず、人の骨の数はおよそ200。
そして犬の骨は、320前後。
おおよそ、840本の骨があることになる。なぜなら、ワーグの頭蓋骨が二つあるので、二匹の骨があることが判明しているからだ。
まずは分かりやすい骨から分別がされる。
骨盤や大腿骨、上腕骨、肘から手首、膝から足首で二本ずつ。
肋骨は、二対だから、12本ずつ。犬と一緒ならワーグは、13本ずつである。
丸っこい方が人間であることがわかり、犬の骨と全く違うことが分かる。
続いて、肋骨を支える脊椎。これも、湾曲が全然違うので分かりやすい。
それらを分けた後、残ったのは、問題となる手や足の骨だ。とにかく多くて細かい。
その中に、細い骨があり、これはヒトのものじゃないとマルシルが言った。
犬の足は爪先立ちなので、この細い骨はワーグのものだと分かった。
オオカミ(ワーグ)の足の骨を除いたら、この中からさらにヒトの骨を探し出す。
一番大きいものは、踝の骨。
次にそれに合う骨を探し出して並べたら、足の甲の完成。ぴったりと収まる。
そして、一番の難関。手。
指から並べていく。次に手の甲、そして、腕と手の甲を繋ぐ手根骨だが……。
「えっと……えっと…。ヒント!」
「楽しくやってんじゃねーよ!」
なんだかいつの間にかパズル感覚で楽しんでいたのだった。
そして、ついにすべての骨が分別された。
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