第二十二話 黒魔術
[3/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
炎竜の場合は、それを吐き出さずに、火を吐くための燃料にする。この黒い毛は…、たぶんワーグのもの。何匹か食べたのね…。それに、これは…。」
「髪の毛!」
金色の短い髪の毛が黒い毛の塊の中に混じっていた。
「ほぐしてみよう! 人骨が混じっているかも!」
そして桶を持ってきて、あと水を持ってきて手分けして分別が始まった。
中から、いくつもの骨が見つかる。
そして……。
「おい…、これ…。」
へしゃげた鎧の一部をチルチャックが見つけた。
「ちょっと、ファリン!」
「………兄さん?」
ファリンは、黒い塊の中から、頭蓋骨を見つけた。
***
頭蓋骨を見つけて、ファリンは呆然とした。
「ライオス…。」
「あ……、あの状態から生き返るのか?」
「前例がないわけじゃないが……。」
場が静まった。
やがてファリンが動き出した。
「お、おい、ファリン?」
「まだ、まだよ! まだ望みはある!」
「待って、ファリン!」
「なに!?」
「魂と肉体のつながりが弱まってるわ!」
「っ…!」
言われてファリンも気づいた。ライオスの遺体とライオスの魂の結びつきが弱まっていることに。
「動かすのは危険よ。」
「分かってる。分かってるけど!」
蘇生に失敗する例は、様々だが、そのほとんどが肉体の損傷が激しく、再生に失敗したか、魂がすでに離れているかだ。
ライオスの場合、すでに骨を残して他の臓器も肉も失われている。損傷はかなりのものだ。
「ならば、どうするのだ?」
「…蘇生は、ファリンでもできるけど、肉体の修復には、損傷した分の倍以上のカロリーが必要だから…、一緒に大量の新鮮な血肉を運んでくる必要があるの…。」
「そんなの途中で腐るだろ。」
「方法はある…。」
「えっ?」
「そう。」
ファリンの言葉にマルシルが同意した。
「今なら新鮮な血肉は、そこに山ほどあるわ。」
「ちょ、ちょっと待てよ! 竜の肉で蘇生を行う気かよ!」
「やるわ。」
「ファリン!」
「待って。ファリン。もっと確実な方法がある。…怖がらせてしまうから、言いたくなかったけど。」
マルシルが語り出した。
自分の専門は、現代では禁忌とされている古代魔術の研究であること。
それを使えば、通常の蘇生術よりもより確実だと言った。……まっとうではないけれどと。
「な……。」
「黒魔術か! やめろ、ろくでもない!」
「魔術に善悪なんてない。どうする? ファリン?」
「そんなこと…したら…。」
ファリンは、魔法学校で共にいたから知っている。
黒魔術などの禁忌とされる魔法に手を出した者は
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ