第二十二話 黒魔術
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チルチャックが、動く鎧の剣をファリンに渡した。
「あ…。」
「その件については、まだ許してないからな。あとでゆっくりと話させろ。」
「…うん。」
***
そして四人は、死んだレッドドラゴンに向き直った。
「さて……。」
「まずは、腹の中身を確認しよう。」
「胃は、この辺りよ。包丁を借りるわ。」
ファリンがセンシからミスリル製の包丁を借り、レッドドラゴンの腹を切り裂いた。
分厚い鱗と皮膚をまず剥がす。
「なんて分厚い皮膚なの…。」
「これじゃあ、包丁で戦っても、皮膚脂肪にすら届かなかったな。」
「胃に届くまで、相当時間がかかるわ…。」
「発破する?」
「ううん。竜もさすがに内臓は他の生き物と同じよ。少しずつ掘り進めるわ。」
そう言って、ファリンは、肉を掘っていった。
やがて、ガツンッという感触があった。肋骨だ。
なので迂回して肉を掘り進めた。
「暗いな…。ランタンをつけるか。」
「ダメ。火はダメ。マルシル、明かりを。」
言われたマルシルが杖から小さな光る玉を作り出し、宙に浮かべた。
レッドドラゴンの中は、炎の竜の名にふさわしくとても熱かった。
汗だくになりながら、ファリンとセンシは、肉を掘り進めていく。
「炭鉱で働いていた時代を思い出すな……。」
っとセンシが言った。
「あ!」
やがて内臓に当たった。
「これは肝臓! じゃあ、胃袋も近いわ!」
「む…。」
「あ……、胃袋!」
すぐに胃袋を発見した。
いったん外に胃袋引きずり出した。
そして中を確認するため、包丁で切り裂く。
しかし中は……。
「からっぽ……。」
「そんな…。違う竜なんじゃないの?」
「そんなことない…。目の上の傷は、確かにあのときの竜のものだった。縄張り意識の強い雄がこんな近くに何匹もいるなんて考えられない。」
「オスか…。」
「他の内臓を見てみよう!」
そう言って、今度は腸を引きずり出した。
そして一通り切り裂いて、中を確認した。
「骨の一片も残ってないなんて…。急いで糞を探さなきゃ…!」
「ファリン…。」
「うぅ…、! 待って…。」
ハッとしたファリンが再びレッドドラゴンの腹の中に入って、とある臓器を引きずり出した。
「なに?」
「これ…、もしかしたら…。」
そして包丁で引き裂くと、中から、ドロリっと黒い塊のような粘土のようなものがあふれ出てきた。
その強烈な匂いにチルチャックが鼻を摘まんだ。
「なに、これ!?」
「毛や骨の塊…。獲物を丸呑みにする生き物の中には、消化しにくいものをまとめて吐き出すものがいるわ。
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