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ダンジョン飯で、IF 長編版
第十九話  大ガエルのパスタ
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、魔物・大ガエルの姿があった。大ガエルは、舌にファリンが手にしていた剣を貼り付けていた。
 そして、大ガエルは、剣をペッと捨てた。階段の底に。
「うわーー! うそぉ!」
「任せて!」
 マルシルが短く詠唱し、爆発魔法を杖から放ち、大ガエルの頭部を吹き飛ばした。大ガエルの体は階段の方へ落ちた。
「っし!」
 だが一瞬マルシルの目が離れた隙に、別の大ガエルの舌がマルシルの杖を奪った。
「あーーーー!」
 そして大ガエルは杖を階段の底に捨てた。
「いやーー、アンブロシアーーー!」
「そんな名前が…。」
 二つの武器を奪った大ガエル達がファリン達の方へ飛んできた。
 センシが斧を振るって、一匹の頭を切り裂いて仕留めた。
 背後にもう一匹が迫り、舌を飛び出させてセンシの斧を奪おうとした。センシは、持ち前の怪力で耐える。
「手を放しちゃダメ!」
「耐えて、センシ!」
 マルシルとファリンが左右から助ける。
「ま、魔法…。」
「待って! 距離が近すぎるわ!」
「っ…。? ……なあファリン、大ガエルは、テンタクルスに触れても無事なのか?」
「えっ? さ、さあ…、そ、そういう体質なんじゃないかな…。」
 ファリンは、曖昧な返答をした。
 チルチャックは、そこは詳しくないのかよっといらだったが、つべこべ言っている場合じゃ無いので強硬手段に移った。
 頭を失って死んでいる大ガエルの皮をナイフで裂いて剥き、それを両手に巻いてヒモをくくる。
 即席の大ガエルの手袋を巻いたチルチャックがファリン達と、大ガエルの横を通った。
 驚くファリン達と後目に、大ガエルの真横にあるテンタクルスを掴んだ。
 驚くことに、大ガエルの皮は、テンタクルスの刺胞が刺さらなかった。
 そしてチルチャックが、テンタクルスを引っ張った。
 だが抜けない。
 壁に足をかけて踏ん張っても抜けない。
 やがて大ガエルの目にチルチャックが映った。
 すると大ガエルは、センシの斧から舌を放した。
 そして、背中を向けているチルチャックの方へ狙いを定め…、バクッと、頭からチルチャックを食べた。
「チルチャックーーーー!」
 チルチャックの小柄な体が半分以上、大ガエルに飲まれる、同時にチルチャックが意地でも放さないでいたテンタクルスがズルズルと壁から抜け出した。
 そして、ゴリゴリと音を立てて、罠が作動し、矢の罠がいいタイミングで大ガエルの額を貫き、大ガエルは倒れた。
「チルチャック!」
 すぐに助け出された。
 唾液まみれになったチルチャックは、咳き込み、必死で息をした。
「手、見せて、治療するから。あれ? 無傷だわ。」
「なるほど…、大ガエルの皮を手に巻いたんだね。
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