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ダンジョン飯で、IF 長編版
第十四話  拾った(?)麦で作った雑炊
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あ…、また最後まで歌えなかった。兄さんに教えてもらったのに…。」
「知らない奴が急に歌を合せてくるって…、相当な恐怖だぞ?」

 そして、見覚えがある死体達を陸地に上げ終えた。

「散らばった麦がもったいないなぁ。」
「もらっとけば?」
「じゃあ、もらっちゃおう。」
 チルチャックが冗談めかして言ったことを本気にしたファリンが、水面に浮いている麦を拾い出した。
 やがて、麦を拾っていたファリンが、浮かんでいる死んだ人魚を見つめだした。
「ダメだから!」
「ふぇ…!」
 後ろからチルチャックに頭を叩かれた。
「まだ何も言ってないよ?」
「亜人系には手を出さないって約束だろ?」
「あじん…。って、なんなんだろう?」
「なんだって?」
「人魚には、二種類いて、哺乳類と魚類がいる。この人魚は、見ての通り魚類の方。卵を産むからヘソや乳首が無いし、エラがある。分類的には牛や豚より人間から遠いと思うんだけど……。」
「ーーーっ…! ダメーーー!!」
 魚類型の人魚の全体図を見て、青ざめたチルチャックが腕でバッテンを作った。
「ねえ、教えて。何がダメなの? 牛はよくて、魚人がダメな理由は…。」
「っ…、気分的にイヤだ!」
「きぶん? …気分なんだね。」
 ファリンを諦めさせる言葉を、なんとか絞り出したチルチャック。その言葉を聞いて、ファリンは考え込んだ。
 そして、なんとか納得し、ファリンとチルチャックは、センシとマルシルのところへ戻った。





***





 戻ってみると、まだ二人は作業を続けていた。
「まだやってら。」
「お腹すいたから、食事の用意をしようか。」
 ファリンは、そう言って、センシの大鍋を借りて、それから火を起こした。
 鍋に水を入れ、そこにさっき拾ってきた麦を入れる。
 そこにほぐしたミミックの身を入れ、さらに刻んだ水草を入れるのだが…。
 チルチャックが気づいた。
「ちょっと待て。それ、人魚の頭に生えていたやつだろ?」
「そうだけど?」
「そうだけどじゃねーよ!」
「これは、完全に植物だよ?」
 根っこはあるが、これは、植物本体を固定するための物で、そこから養分を吸うことはない。
 魚類型の人魚は、この水草を用いて擬態しているのだ。
 水草が無ければ、もっと魚に近い姿をしていただろう。
「これでも気分的にダメ?」
「……分かった分かった。好きにしろ。」
「ありがとう。」
 観念したチルチャックに、ファリンは笑った。
 その無邪気な笑顔に、チルチャックは、ため息を吐いた。

 そうして、できあがったのが、拾った大麦で作った雑炊だった。

「マルシル
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