第十四話 拾った(?)麦で作った雑炊
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チルチャックは、ため息を吐いた。
っというのも…。
チルチャックの後ろの方では、必死になってケルピーの死体を解体しているセンシと、ケルピーの油で石けんを作り続けるマルシルがいた。
「なんだ、こいつら! ここへ何しに来たんだよ!」
たまらずチルチャックは、叫んでいた。
「なあ、もう出発しようぜ。」
「だからー! センシに魔法が効かないから苦労してるんでしょうが!」
「馬を丸ごと持って歩けるか!」
っというのが、言い分だった…。
チルチャックは、げんなりして黙った。
「もう…諦めてイカダ引っ張ろうぜ。」
「チルチャック。暇なら少し歩かない?」
ファリンがチルチャックを誘った。
「お前も少しは怒れよ。」
チルチャックがすかさずツッコミを入れた。
ファリンは、気にせず、湖の先を指さした。
「あそこに何か浮いてる。人間だったまずいから、見に行ってみよう。」
「ええ…、やだなぁ…。」
そして、二人は水上歩行の魔法で水面を歩いていった。
現場に行くと、周りには何か白い物が浮いていた。
「麦だ。」
それは、麦だった。
「あ、バックだ。」
「中身が漏れてる。」
そして、水に浮かんでいる死体達を見つけた。
「水上歩行が切れかかってる。陸地に引き上げよう。ん? この顔どこかで見た覚えないか?」
「そう?」
チルチャックとファリンは、浮いている死体を陸地に上げていった。
「コボルトもいるわ。そういえば、三階でも倒れてたわね。」
「なんで先回りされてんだ?」
「兄さん、獣人好きだもんね〜。」
「おい…。」
ファリンは、ルンルン気分でコボルトを陸地に引っ張っていった。
チルチャックは、ため息を吐きつつ、最後の死体をひっくり返した。
「ギャッ!」
それは人魚の死体だった。顔が魚の。どちらかというと魚人といった方がいいかもしれない、そんな見た目だ。
「人魚と相打ちになったのね。」
「あーあ。気の毒に…。っ……。」
するとチルチャックの目がうつろになり、何かに誘われるように動き出した。
「! チルチャック!」
ファリンが気づいて、チルチャックの耳元で手を叩いた。
チルチャックは、ビクッとなって正気に戻った。
歌が聞こえていた。
それは、上半身が人型の人魚の方の歌だった。
この歌を聴くと、意識を奪われ、人魚の方へと誘われてしまう。そして水中に引きずり込むのだ。
だが、不思議なことに直接危害を加えてはこない。
ファリンは、その歌を上書きするように大声で歌い出した。
ちなみに、同じ歌である。
歌っていると、人魚達は、水の中に消えていった。
「あ
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