暁 〜小説投稿サイト〜
ダンジョン飯で、IF 長編版
第十四話  拾った(?)麦で作った雑炊
[1/3]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
 チルチャックは、ため息を吐いた。
 っというのも…。
 チルチャックの後ろの方では、必死になってケルピーの死体を解体しているセンシと、ケルピーの油で石けんを作り続けるマルシルがいた。
「なんだ、こいつら! ここへ何しに来たんだよ!」
 たまらずチルチャックは、叫んでいた。
「なあ、もう出発しようぜ。」
「だからー! センシに魔法が効かないから苦労してるんでしょうが!」
「馬を丸ごと持って歩けるか!」
 っというのが、言い分だった…。
 チルチャックは、げんなりして黙った。
「もう…諦めてイカダ引っ張ろうぜ。」
「チルチャック。暇なら少し歩かない?」
 ファリンがチルチャックを誘った。
「お前も少しは怒れよ。」
 チルチャックがすかさずツッコミを入れた。
 ファリンは、気にせず、湖の先を指さした。
「あそこに何か浮いてる。人間だったまずいから、見に行ってみよう。」
「ええ…、やだなぁ…。」
 そして、二人は水上歩行の魔法で水面を歩いていった。
 現場に行くと、周りには何か白い物が浮いていた。
「麦だ。」
 それは、麦だった。
「あ、バックだ。」
「中身が漏れてる。」
 そして、水に浮かんでいる死体達を見つけた。
「水上歩行が切れかかってる。陸地に引き上げよう。ん? この顔どこかで見た覚えないか?」
「そう?」
 チルチャックとファリンは、浮いている死体を陸地に上げていった。
「コボルトもいるわ。そういえば、三階でも倒れてたわね。」
「なんで先回りされてんだ?」
「兄さん、獣人好きだもんね〜。」
「おい…。」
 ファリンは、ルンルン気分でコボルトを陸地に引っ張っていった。
 チルチャックは、ため息を吐きつつ、最後の死体をひっくり返した。
「ギャッ!」
 それは人魚の死体だった。顔が魚の。どちらかというと魚人といった方がいいかもしれない、そんな見た目だ。
「人魚と相打ちになったのね。」
「あーあ。気の毒に…。っ……。」
 するとチルチャックの目がうつろになり、何かに誘われるように動き出した。
「! チルチャック!」
 ファリンが気づいて、チルチャックの耳元で手を叩いた。
 チルチャックは、ビクッとなって正気に戻った。

 歌が聞こえていた。
 それは、上半身が人型の人魚の方の歌だった。
 この歌を聴くと、意識を奪われ、人魚の方へと誘われてしまう。そして水中に引きずり込むのだ。
 だが、不思議なことに直接危害を加えてはこない。

 ファリンは、その歌を上書きするように大声で歌い出した。
 ちなみに、同じ歌である。
 歌っていると、人魚達は、水の中に消えていった。
「あ
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ