第十二話 ミミックの塩茹で
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た。
その後ろを追っていたミミックが床のタイルのスイッチを押しこみ、途端、鉄格子が落ちてきてミミックの体部分を押しつぶした。
***
「チルチャックが戻ってこないんだってば!」
ようやく異変に気づいたマルシルがファリンとセンシを起こしたところだった。
そして彼らは気づいた。
床に倒れているチルチャックと、鉄格子で潰されて絶命しているミミックに。
「チルチャック! ごめん。ごめんね!」
「…生きてるって…。」
駆け寄ってきたマルシルに、倒れていたチルチャックが言った。
「これは…。」
「あなたがやったの? チルチャック?」
「でかしたぞ!」
「…どうも。」
そして鉄格子の仕掛けを開け、死んだミミックを引っ張り出した。
「立派なミミックだわ。」
「ミミックのう。調理するのは、初めてじゃ。」
「当然のように食おうとするなーーー! 毒を持ってるかもしれないのに!」
食べる気満々のファリンとセンシに、マルシルが叫んだ。
「だいじょうぶだよ、マルシル。迷宮グルメガイドによるとね、ミミック自体に毒はないの。食べた物によっては、有毒なこともあるみたいだけど。消化器系を取り除けばだいじょうぶじゃない?」
「うむ。」
「大丈夫な点が聞こえなかったんだけど!」
「諦めろマルシル。あいつらに何を言っても無駄だ。」
チルチャックは、破れた皮の装備を縫いながら言った。
「だが、今回ばかりは俺は絶対に食わないからな。」
ミミックにトラウマがあるチルチャックは、ミミックを食べるのを拒んだ。
そして、ミミックがハサミ、足、胴体と解体された。
大鍋にたっぷりの湯を沸かし、塩を振り入れる。
そこにミミックを投入し、蓋をして十分に茹でたら…。
「完成じゃ!」
茹でミミックの完成。
そして実食。
「うーん。スプーンが入らない。フォークも無理だわ。」
「柄を使ったらどうだ?」
「ダメ。身が奥に押し込まれちゃう。」
「そうだ。チルチャック。あれを貸してくれ。」
センシがチルチャックに言った。
「あれ?」
「ほれ、いつも身につけている。……ピッキングツール!」
「ば…! 馬鹿じゃねーの!?」
顔を青ざめさせたチルチャックが腰に付けているピッキングツールを押さえた。
「イヤだ! それは絶対にイヤだ!!」
「煮沸消毒すれば、だいじょうぶじゃ。」
「そういう問題じゃねーよ!」
「ごめんね。チルチャック。ちゃんと洗うからね。」
「馬鹿野郎! やめ、やめろーーーー!!」
センシに押さえつけられ、ファリンにピッキングツールを奪われた。
そしてピッキングツ
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