第十二話 ミミックの塩茹で
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のなら何匹か捕まえれば腹の足しになると考えたからだ。
チルチャック的に、コイン虫は、結構好きであった。
他の宝虫ほど凶暴ではないし、何より通貨そっくりってのが洒落ていると思っていたからだ。
やがてコイン虫がミミックのいる部屋に入っていった。
ギョッとしたチルチャックは、コイン虫を追いかけて部屋に入ってしまった。
その瞬間、ガコンッという音とともに、背後の出入り口が鉄格子で閉じられた。
「ばっ……!」
チルチャックの体重は軽いが、水を満タンにした革袋の重さがプラスされてしまって仕掛けを動かしてしまったのだ。
慌てて鉄格子の方へ行き、鉄格子の隙間から外の壁に手を伸ばすが、小柄であるため手足も相応に短いチルチャックでは、開閉の仕掛けには届かない。
大声を出すか? いやそれでは他の魔物を呼び寄せて寝ている仲間が危険にさらされる。
自分が戻らなければ、起こしておいたマルシルが……、気がつくとは思えなかった。
実際、マルシルは、座ったまま寝ていた。
チルチャックは、深呼吸をして、冷静さを取り戻した。
閉じた扉を開けるのは、お前の仕事だろうが!っと心の中で自分に喝を入れる。
この手の扉は仕掛けを解けば開く。
ミミックは、触らなければ大丈夫だ。
変な装置が動く音も聞こえないので、時間制限はないと思われる。
チルチャックが周りを見回すと、壁にいくつか押し込めるレンガがあるのを見つけた。
そして床に槍が飛び出す仕掛けも見つけた。
問題は……。
「このプレートの文言が鍵なんだろうな…。」
大きな棚の斜め上にある壁のプレート文字が読めなかったのだ。
古代語はマルシルなら読めるが、ここにはマルシルはいない。
しかしどこかで見覚えがある。
部屋のスイッチは、三つ、それを順番に押していくのだろうが……、それが分からない。
チルチャックは、ハッとした。
ミミックの箱のところにももう一つスイッチがある。だがミミックが邪魔だ。
部屋の中に何かヒントはないかと見回したが、ない。
適当に押せばスイッチの下にある槍で串刺しだ。チルチャックの体格ならば回避できそうだが危険である。
チルチャックは、腕組みして考え込んだが…結局名案は浮かばず、頭を抱えて棚の上に座った。
もう、夜が明けるまでジッとしておくしかないかと諦めた。
はあ…っとため息を吐いたチルチャックは、気づかなかった。
自分が座っている棚の戸が音も無く開き、そこから大きなミミックのハサミが出ていることに。
そのハサミがゆっくりとチルチャックの足を挟もうと動く。
その時、チルチャックが気づいた。
「! そ…!? っち、かよ!」
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