第十二話 ミミックの塩茹で
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生ける絵画が並ぶ広間をあとにし、進んでいくと厨房らしき場所にたどり着いた。
隣の部屋には、水がくめる場所もあり、そこで一息つくことにした。
「お前が絵で遊んでなければ、今頃四階へ着いていただろうに。」
センシに言われファリンは、シュンッと落ち込んだ。
そんなファリン達を後目に、チルチャックは、別の部屋にある木箱に気づいた。
あれ…、ミミック(魔物の擬態)じゃね?っと思った。
あの木箱は、以前通ったときには無かったモノだったからだ。
チルチャックは、ミミックには、何度となく苦渋をなめさせられていた。
まだ新人だった頃。何度となく殺されたのだ。
そのためミミックにたいしてとてつもなく注意深くなっている。
しかしチルチャックは、ミミックのことを伝えなかった。
なぜなら、今の自分達は食料をダンジョンの魔物で供給している。ミミックと知れれば真っ先に食べようということになるだろう。そして箱を開ける係は、当然チルチャックの領分だ。ミミックを嫌うチルチャックとしては、それだけは避けたかったのだ。
ミミックは、箱などを殻とするデカいヤドカリみたいな魔物だ。大きさによって選ぶ殻にする物も違い、当然だが大きければ大きいほど大きな殻となる物が必要となる。箱であったり、棚であることもある。大きさ=ミミックの強さといえるかも知れない。
「今日は、ここで休んでいこう。…チルチャック? 聞いてる?」
「ん…、ああ…。」
こうしてミミックがいる部屋の隣の部屋で寝泊まりすることになった。
***
皆が眠り、チルチャックが見張りをしていた。
すると腹の虫が鳴る。
「空腹に弱くなってんな…。」
二日くらい食べなくても平気だったのにと思いながら、袋の中から水を入れる革袋を取りだした。
そして水を飲もうとしたが、中に入っていた水は無くなっていた。
「おい、どんくさ。隣で水汲んでくるから起きろ。」
チルチャックは、マルシルを起こした。
「んが…? ん…、一緒に行く…。」
「いらん。すぐ戻る。」
「危ないよぉ…。」
熟睡状態から起こされたため眠り心地状態のマルシルを残し、チルチャックは水を汲みに行った。
隣の部屋にある水汲み場に革袋を突っ込み水を補給する。
そして満タンになった革袋を抱えて戻るところだったが、チルチャックは、ふと立ち止まった。
チルチャックの目先の床の上にコインが一枚落ちていた。
そのコインは、ゆっくりと床を移動する。コインが移動するなんておかしいが、コイン虫なのだからおかしいことはない。
チルチャックは、それを目で追いながら、足を進めた。
この辺りに巣がある
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