第十一話 絵に描いた餅
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があれば、こちらから引っ張る。」
センシがファリンの腰にロープを巻いた。
「えーと、どの絵にしようかな…。あ、これなんかどうかな? すごいごちそうでいっぱい。」
少し大きめの絵画には、数名の人間の絵の他に、料理の絵がいくつか描かれていた。
それを選んだファリンは、早速絵の前に来た。
そして少し待つと、絵が歪み回転しだした。
「とう!」
そこへすかさずファリンが飛び込んだ。
***
そしてファリンは、タイルの床の上に倒れ込んだ。
「痛い…。」
「あなた…。」
「ハッ!」
声をかけられてファリンは、ハッとし杖を構えた。
「その杖…、あなた魔術師さん?」
「…えっと…。」
エプロンをつけた女性に声をかけれ、ファリンは、警戒しつつ言葉を選んだ。
だが女性から突然果物がのった皿を渡された。
「えっ?」
「さっ、これを運んで! まったく人手がいくらあっても足りやしない。」
女性に急かされファリンは、言われるまま果物を運ぶ。
果物は新鮮そうで美味しそうだった。たまらずつばが湧いてくる。
「こっち、こっち。ボヤッとしてないで!」
「えっ、あ、はい…。」
言われるまま入った部屋には、褐色の肌のエルフの子供と、赤ん坊を抱いた女性と、立派なマントをまとったひげの男性がいた。
「見ろ。この利発そうな顔を!」
「鼻の形があなたそっくり。」
「いずれ立派な国を築くだろう。」
そう言ってマントの男性は赤ん坊を愛おしそうに抱いた。
ファリンは、そんな彼らの会話を後目に持っている果物に釘付けになっていた。
辛い。空腹が…。
「なに、ぼうっとしてるの! 早く次を運んでちょうだい!」
「あ、あの…一口…。」
「よおおおし!」
マントの男性が大声を出した。
「デルガル! お前の名は、デルガルだ!」
どうやら子供の名を決めたらしい。
「ははは。デルガル。善き王になれよ!」
デルガルと名付けられた赤ん坊を抱いて、マントの男性と、褐色の肌のエルフと母親らしき女性が笑い合った。
その雰囲気はとてもじゃないが…。
「だ、ダメ! とても食べられない!」
耐えきれなくなったファリンは、元来た道を走って戻り、ロープを引っ張った。
そしてロープが引っ張られ、絵の中から帰還した。
「どうだった?」
「あの…えっと…、とてもじゃないけど、食べられる雰囲気じゃなかったの。」
「雰囲気? 雰囲気の問題!?」
「雰囲気がそんな状態じゃなかったっていうか…。あー、もう。お願い、もう一回!」
ファリンは、立ち上がって別の絵を選ぶことにした。
フ
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