第十一話 絵に描いた餅
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霊の群れを撃退した後、さらにファリン達は前進した。
やがて扉にたどり着いたが、扉は閉まっていた。なぜかこの扉、開けても次には閉まっているのだ。
チルチャックが解錠作業をしている間に、ファリンは悩んだ。
っというのも、ここまでほとんど休まず進んできたのだ。そろそろ休憩が必要だ。
しかし…、そうもいかないのだ。
その時、ぐーっという腹の虫が鳴った。
「わ、私じゃないわよ?」
「無理もない。今日はまだ菓子しか食っておらんからな。」
そう、食料がほとんど無いのだ。
野菜はオークに渡してしまい、パンも残り少ない。あるのは、ボウル一杯の宝虫だけ。
「やはりこの階層には、食える物があまりに少ない。多少は無理をしてでも、地下四階を目指すべきだ。」
「でも…、魔物を倒すには体力が…、でもお腹がすいて倒れてもいけないし…。う〜ん…。」
迷宮の深部で食料を失った痛手はとてつもなかった。それを思い出すと空腹でいるのが恐ろしい。
すると、チルチャックが解錠を終えた。
扉が開き、大広間に入った。
ここは長机が並んでおり、壁にはいくつもの絵画が飾られている。
その絵画の一つの、女性の絵の目が、通り過ぎるファリン達の方を目で追った。
ここは、かつて食堂だったのだろうか。シャンデリアもある。
空腹のせいで、チルチャックが豚の丸焼きに襲われたっていいだろ? なんて冗談を言っていた。
ファリンは、それを聞いてふと立ち止まった。
「ファリン?」
「襲われ…、ハッ! そうだ!」
そう言ってファリンは、絵画の方を見た。
そして次の瞬間、絵画が歪み、シュルリッと触手のようなものがファリンに襲いかかってきた。
「生ける絵画!」
「ちょっと、ファリン!」
生ける絵画に取り込まれる直後、マルシルの爆発魔法が炸裂し、絵画が溶けた。
「あ……。いいところだったのに。」
「どうしてよ! もうちょっとで取り込まれるところだったのよ!?」
「ブドウを持ってる、この絵。」
その間に溶けた絵画は元通りに直っていた。
「まさか、ファリン? おまえ絵の中の食べ物を食おうとしたのか?」
「うん。」
「そんなことできるわけないじゃない。」
「絵に描いた餅って言葉知ってる?」
「それが?」
「確かに人は絵に描いた餅は食べられないわ。でも絵に描いた餅を食べる人の絵なら…。」
「絵の中で殺されるのがオチだぞ?」
「それ。それだよ! 絵の中なら、お互いに干渉できるということだよ。」
熱心に言うファリンに、チルチャックとマルシルは、ため息を吐いた。
「分かったよ。じゃあ、もう好きにしろ。ただし一回だけだぞ?」
「ロープで縛ってやろう。合図
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