第九話 宝虫で作ったおやつ
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「当然だ。虫は栄養価の高い素晴らしい食べ物だ。味も風味もいい。それに見た目にも映える。」
「裏側をこっちに向けるな。」
ちなみコイン虫の裏側は…、虫の腹と足がある。
「どうやって見分けるの?」
「物によるが、これなどは分かりやすい。節の間に足がある。」
真珠ムカデは、真珠型の節の間に小さな足があった。
「コイン虫って、確か雄と雌で絵柄が違うんだったわ。兄さんが言ってた。」
コイン虫と、ブローチは、裏側を見れば虫と判別できる。
「指輪は、リング部分の弾力がある。ティアラは、水に浮かべればすぐに分かる、水に浮いたら宝虫だ。軽いからな。とりあえず失神しているうちに料理してしまおう。」
そして、宝虫の調理が始まった。
まず真珠ムカデは、足があると口当たりが悪いので取り除き、串に刺して、塩を振り、焼く。これで、真珠ムカデの串焼きの完成。
つぎにフライパンに油を熱し、コイン虫を腹の方から焼いていく。
そして軽く塩を振り、木べらでかき回しながら油をまわし、油紙を敷いた皿に盛る。この際コインの絵柄側を上にすると見栄えが良い。これでコイン虫のせんべいの完成。
ティアラ型の宝虫は、卵と幼虫(宝石部分)を取り除き、巣(ティアラの形の部分)を砕いて、水を少々入れた小鍋の中で煮詰めていく。味を見て、足りなければ砂糖を足す。
煮詰めた後、瓶に詰めたら宝虫の巣のジャムの完成。
「わあ、綺麗。」
「綺麗だけど、色んな意味で食欲が湧かないな。とはいえ、コイン虫は食べたことがあるんだよな。」
チルチャックは、コイン虫のせんべいを手にして言った。
「郷土料理みたいなのあるよね…。」
「めでたげな見た目だし、げんかつぎになるんだよ。」
地上では、コイン虫は、佃煮などになっている。
そして実食。
コイン虫のせんべいがサクッと音を立ててかみ切れる。
「あれ!? 昔食ったやつより断然うまい!」
「それはそうだ。迷宮の外より中にいる魔物の方が大概うまい。外で飼うと、途端に味がぐずぐずになってしまう。」
パンに宝虫の巣のジャムを塗りながらセンシが答えた。
マルシルは、真珠ムカデの串焼きをかなり嫌そうに口にした。
「私……、もうネックレス付けられない…。トロッとしたものが…、うっ。」
「小魚っぽくて、うまい。」
マルシルとは反対に、コイン虫のせんべいをバリボリとチルチャックは食べていた。
「同じ魔物でも深層の方がうまいぞ。」
「へ〜、楽しみ。」
センシからジャムを塗ったパンを受け取りながらファリンが微笑んだ。
パンでサンドされたジャムは、甘くてとても美味しかった。
ジャムの見た目は、本当に宝石のようだが、固くはない。
どうし
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