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ダンジョン飯で、IF 長編版
第八話  オークと一緒に作ったパン
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……威勢だけはいい奴だな。気に入った。お前は生きたまま火に投げ込んでやろう!!」
「ほらすぐそうやって暴力に訴える!!」
「二次発酵。」
 丸めたパン生地を大鍋に並べる。同時に一時休戦。
 そして時間置くと、倍に膨らみ、間隔を開けて置いていた生地同士がくっついた。
 しっかりと膨らんだ鍋の中のパン生地を、鍋に蓋をして弱火で片面ずつ焼いていく。
 そして少し蒸らす。
 蓋を開けると…。
「パンの完成じゃ!」
「いい匂い。」
 さすがに、この焼きたての匂いにオーク達が鼻をひくつかせた。
「どれ、味見を…。」
「待て! そのパンは我々の物だ。お前達には与えない。」
「な、なんですって。」
「パンと作りたいと言ったから作らせたが、それをどうするかは我々の自由だ。」
「父ちゃん。」
 すると足下にいたオークのリーダーの子供が言った。
「みんなで作ったのに、あの人達は食べられないの?」
「…う…。」
 その様子を見たマルシルは、動いた。
「パンだけでは、食事にはならないからね。主食、主菜、副菜と、バランス良く食べてこその食事よ。」
 オークの子供の目線を合わせて語りかける。
「お父さんは、他のおかずができるまで待ちなさいと言ってるのよ。」
「おい、勝手に…。」
「そうそう。野菜の代わりに一晩の宿をもてなしてもらえる約束なのだ。父上は約束を違えぬ男だ。」
「……ハーー…。」
 オークのリーダーは、ヤレヤレと言った様子で長く息を吐き、他の仲間に指示を出した。
 適当な飯を振る舞ってやれと。

 そして、オークの女達が調理を始めた。
 ちなみに、オークの女には、角がない。男にしかないのだ。
 センシ作の野菜を使い、柵の中の鶏をシメ、鍋で煮込んでいる料理の味見をセンシがしたりした。

「おらっ! できたぞ!」

 そしてできあがったのが、()れたて野菜と鶏のキャベツ煮と、それを包んで食べるためのクレープと、略奪(品)で作ったパンだった。

「食え!」
「い、いただきます。」
 そして実食。
「う、うまっ、からっ!」
 オークの料理の味付けは、とても辛かった。
「同じ食材なのに、全然違う料理。奪うことしかできないなんて言ったけど、オークも中々やるじゃない。」
「うるさい。」
「あの…。」
 ファリンが言った。
「なぜ、迷宮の深部を目指すのかという話なんですけど…、実は、兄がレッドドラゴンに食べられたんです。それで、その竜を追っています。場所を教えてもらえれば、私達でレッドドラゴンを倒します! あなた達の集落には一切関与しないと約束します!」
 ファリンの言葉に、オークのリーダーは、しばらくファリンを
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