第八話 オークと一緒に作ったパン
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歴史の勉強をしようか。」
そしてオークのリーダーは語り聞かせる。
自分達が地中ではなく、地上で暮らしていた頃の話だ。
そこには人間やエルフがいて……、自分達の仲間をたくさん殺し領土を奪ったっと…。
「オークだって、他の種族をたくさん殺したじゃない…。」
マルシルがボソッと言った。
「なに?」
それはオークのリーダーの耳にしっかり聞こえていたようだ。
その間に混ぜ合わせたパンの生地に、オリーブ油を加える。
そして生地の端を持ってたたきつけるようにこねる。
その間にもオークのリーダーの語りは続いた。
地上を追われた自分達は、放浪の末、地中に居場所を見いだし、しばらくは平穏が続いた。だが……、奴らに…人間やエルフ達に見つかり、地中に油を流し火を付けられたのだと言った。
「……それは、あなた達が他種族の村から略奪を繰り返してたからでしょ!」
マルシルが生地をたたきつけながら反論した。
「そうしなければ、生きていけなかった。」
「地中で暮らす前からそういうスタイルだったせいでしょう。追いやられたのは…。」
「やめとけ、マルシル。それくらいに…。」
「黙れ、ハーフフット!」
「はい。」
「もっと力を入れてこねんか!」
「すみません。」
「よこせ! 俺がやる!」
そう言ってオークのリーダーがチルチャックが持っていたパン生地を奪い取った。
「地上追われ、地中に逃れ、ようやくたどり着いた迷宮でさえ、お前達は奪おうとする。」
「先に発見したのは、上の村の人達だし。」
「深部まで潜ってきたのは、我々が先だ!」
「それ言い出したらその辺歩いてるゾンビの方が!」
「綺麗に伸びるようになったら、一次発酵だ。」
センシの言葉が合図だったかのように、言い合いは、一時休戦となった。
そして、時間をおいて、二倍ほどに膨らんだら、均一に切り分けていき、形を整えていく。
「…ずっと黙っているが。」
オークのリーダーが黙っているファリンに話を振った。
「人間。お前はどう考えているのだ?」
「えっ?」
「この迷宮を作り上げた狂乱の魔術師を倒せば、この城の全てが手に入るらしいな。お前はなぜ、迷宮の深部を目指す? “国”を手に入れたとき、お前はどうする?」
「そ、そ……ういう話は、知っていたけど…、それは考えたこともなかった。」
「聞いて呆れる。冒険者というのはこんな奴ばかりだ。日銭稼ぎ。腕試し。私利私欲の馬鹿ばかり。お前のような者がこの城を手に入れたらと思うと、身も毛もよだつ。だから我々は地上の者を見つけ次第、殺す。」
「屁理屈だ! ならあなた達も王座に挑戦すればいいじゃない! それともオークは奪うことしかできないの!?」
「
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