第八話 オークと一緒に作ったパン
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分かった。」
ファリン達はため息を吐いた。命には代えられないのだから仕方が無い。
しかし、次に飛び出したセンシの言葉に目を剥くことになる。
「その代わり、一つ頼みがある。今晩は、お前達の宿に泊めてくれ。それさえ叶えば、命でも野菜でも大人しく捧げよう。」
「なっ!?」
「はあ?」
「それから、そこの! それは腐敗ではなく、発酵だ! 必ず持って帰れ!」
とんでもないことになってしまった…。
***
そしてファリン達は、オークに前と後ろを挟まれた形で彼らの野営地へ向かうことになった。
「なんであんなことを?」
「武器も没収されちゃった…。」
「奴らの野営地の場所を知ったら二度と地上は拝めないぞ。」
「何か考えあったんだよね?」
「うむ…。」
そしてセンシは、答え出す。
先ほどオークに持って行くよう伝えた瓶。あれは酵母で作られたパン種だった。そして厨房にあった小麦粉をオーク達は持っている。
「つまり…。」
「つまり?」
嫌な予感がした。
「パンが作れる!!」
センシのその言葉の後、ファリン達は一分ほど固まり…。
「考えがあるわけじゃなかったの!?」
「バカ!」
「バカバカ!」
「パン作りたいだけかよ!!」
「おい、そこ、静かにしろ!」
怒られた。
そしてファリン達は、オークの野営地にたどり着いた。
野営地は、簡素な布のテントが並んでおり、布の隙間からオーク達がジロジロとこちらを見てきた。
「エルフだわ。」
「なんて野蛮な顔…。」
オークとエルフは、敵対関係にあり、また美的感覚の違いから、エルフの整った美しい顔立ちを不細工だと見ている。
「父ちゃんが帰ってきた!」
「しっ。」
父ちゃんとはおそらくオーク達のリーダーのことだろう。
「この柵の中に入っていろ。」
そこは鶏などを入れてある柵で、牧草が散らばっていた。
「今日の食材は、お前達だ、なんてオチじゃないよな?」
「あのパン種はどこへやった? アレの使いが分からないのでは、宝の持ち腐れだ。寄越せ。パンを作ってやる。」
すると、パン種入りの瓶と、小麦が入った袋が一緒に投げて寄越された。
***
大鍋に、強力粉、塩、砂糖、パン種と水を入れて混ぜる。
固まりになるまで混ぜ合せて行くのだが、ファリン達もボウルや鍋に入れて手伝った。
その様子を、子供のオークが見ていた。
「泥遊びしてるの?」
「え…。」
子供がそう尋ねてきた時、その後ろからオークのリーダーが現れ、子供を抱き上げた。
どうやら、彼の子供らしい。
「
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