第八話 オークと一緒に作ったパン
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「ひょっとせずとも…、今、魔物に出会ったら、危険なのでは?」
今ファリン達は、野菜で両手が塞がっていた。
「どうすんの、この野菜。」
「いつもは少しずつ収穫する物を一度にしたからな。」
「四人で消費できる量じゃないよ? いつもはどうしてるの?」
「物々交換に使ったり…、無人販売所を建てて売ることもあった。しかしいつも金を盗まれるのでやめた。」
それを聞いて、マルシルとチルチャックは、思った。
道理で、あの宝箱にはいつも金が入っているなと……。
結局どうするのかという話だが…、センシが言うには少し下の階層に得意先がおり、時期を見て物々交換しているのだが、今行っても応じてもらえないと言う。
なので、不要なら捨てようと言い出した。
「ダメだよ! 食べ物は大切にしなくちゃ! あんなに苦労して育てて…、こんなにツヤツヤ美味しいのに!」
「情が湧いてる。」
「じゃ、やっぱり…。この辺りで物々交換しておかないと…。」
センシ以外に面々が暗くなった。
なぜ暗くなったのかと言うと…、それはこの辺りにいる商人達や冒険者のたまり場に問題があったからだ。
迷宮内にも商人がいるのだが、その客の多くは、冒険者や、地上に戻れぬ所以ある者達であるのだ。
その結果、たまり場はガラの悪い客であふれ、治安も良いとは言えないのだ。
そして問題のたまり場に来て、扉をノックした。
入れという声がしてから扉を開けると、ムゥとタバコらしききつい匂いが鼻を突いた。
「来るたびにガラが悪くなっていく気がするな、ここは…。」
「ガラが良かった時代があったの?」
「五年前はまだマシだった。」
やがて、背も腰も低い男がやってきた。
「へへ……。ようこそお客様、本日はお泊まりか、お食事で?」
「取引です。」
「それはそれは、…へへ、それで一体何を……?」
「野菜です。」
ファリンがそう言った途端、男の表情が一変した。
「帰れ帰れ!」
男は態度を一変させて、ファリン達をたまり場から追い出した。
「待って、話を聞いて…。」
「取引なら金を持ってきな! わかるか金だ! まるくてピカピカキラキラの!」
「宝石に換えて欲しいわけじゃないの。ここにも厨房があるだろうから、食材を…。」
「このニンジンを料理人に見せてみろ。きっと料理したがる。」
「誰がそんな気色の悪いもの食うか!」
センシが出したニンジンを男がはたき落とした。
「ひどい! 食べ物を粗末にすると罰が当たるんだから。」
「早くこいつらをつまみ出せ!」
男は、大柄な男を呼んで、マルシルを掴ませて追い出そうとした。
その直後…。
大柄な男の背中から無数の刃が身体を貫いた。
「
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