第七話 ゴレーム畑の野菜
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えば、糞便を入れて歩いているセンシがいた。
「何してんの!?」
言われるまでもないことだ。
センシがゴーレムにまいていた肥料の材料である。
「食った直後にできるって、すごいな。」
「ここでは大事な肥料だ。」
「じゃあ、あの野菜も……、うっ…。」
「マルシル。その辺は地上と同じだろ。」
「そうだけど…。」
口を押さえるマルシルに、チルチャックが言った。
「ねえ、どうして?」
ファリンがセンシに問うた。
「どうしてセンシは、そこまで迷宮での生活にこだわるの? 自給自足なら地上でもできるわ。外で畑を耕せるし、その方が楽だって思わないの?」
「そうなれば、他に誰が迷宮の便所の管理をするのだ?」
センシは答えた。
誰が便所に落ちたゾンビを取り除くのか。
誰が倒れたゴーレムを起こしてやれるのか。
昔いた十体いたゴーレムも今は三体しかいない。
ゴーレムがいなくなれば地下から魔物がここまで上がってくる。その魔物に追いやられた魔物は別の場所に入り込んでしまう。それがまた別の魔物を…。
そうなってしまったら、もはやここは別の場所になってしまい、狩りをすることもままならなくなるのだと。
ダンジョンも畑も一緒である。ほったらかして、恵みを受けることはできなくなる。
なにより、ここで育った物を食べ、自分からもダンジョンに分け与える、そのように暮らしていると、ようやく迷宮の中に入れたように思えるのだと。それが嬉しいのだと言った。
「………でも、それじゃあ、私達のためにここを離れて大丈夫なの? この一帯が荒れてしまうんじゃ…。」
「気にするな。ひと月ふた月留守にする程度、ゴーレム達がなんとかしてくれる。それにお前達が栄養不足で死んでは、目覚めが悪い。待ってろ、すぐに支度を済ませる。」
センシは、そう言い残して奥へと行った。
残されたファリン達は、その背中を見送って……。
「センシってすごい……。」
っと思ったのだった。
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