第七話 ゴレーム畑の野菜
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? わしは魔術は好かんが、あれは賞賛に値する! すべての畑はああなるべきだ。」
なにせ害虫がつきにくく、なおかつ野菜泥棒も追い払うからなのだそうだ。
「それ、野菜目当てじゃないだろ…。」
さらに、ゴーレムは、自らの意思で水分管理をし、種や苗を勝手に育ててくれるのだと言う。
なお給水するのは、身体が脆くなって崩れるのを防ぐためだ。決して自身に生える植物のためじゃない。
「とはいえ、細かな手入れは欠かせない。ここに拠点があるのはそうした訳だ。」
センシは、拠点においてある畑仕事用の道具を全員に渡し、ツタだらけの壁に隠れている扉を開けた。
そして口笛を吹くと。
ズンズンと重たい足音が迫ってきた。
「出た!」
「どうする!?」
「手伝う!?」
「いらん。」
次の瞬間、センシがスコップを片手に襲いかかってくるゴーレムと戦い始めた。
その手慣れた感と言ったら…、ダンジョンでの経験が長いファリン達ですらポッカーンとするレベルだった。
センシは、ゴーレムの背中に回り込むと、その首元にスコップを突き刺した。
途端ゴーレムが悲鳴を上げ、倒れた。
そして一体倒すと、次のゴーレムに移る。
「すごい…。なんでゴレームの核がどこにあるのか分かるんだろう?」
「……まさか…。」
やがて、三体のゴーレムがうつ伏せに倒れた。
「終わったぞ。ゴーレムの背中から野菜を収穫してくれ。」
「なんか茂ってると思ったが…、これが全部野菜?」
チルチャックが半信半疑な様子で茂っている草の中に手を入れて引っこ抜いてみた。
するとそれは、ニンジンだった。
「マジだ!」
「うわあ、すごい。」
「ゴーレムからすりゃ、寄生されてるようなもんじゃないのか?」
例えるなら、ノミみたいに。
「どうやって光合成してるんだろ?」
日の光の入らない迷宮の地下で、ゴーレムの背中の野菜はいかにして光合成をしているのか…、謎である。
むしろ、植物が根をはることで土が強固になるから、共生関係にあると言っていい、とセンシは言った。本当かどうかは不明である。
しかもよくよく見ると、ゴーレムの背中は普通の畑のようにウネになっていた。
「しかし、雑草は抜いておいてくれ。」
野菜と一緒に雑草まで生えている。この迷宮内に入る人間達や動物から落ちた植物の種や花粉などがゴーレムの付着するのだろう。
そして、ファリン達は、野菜を収穫しながら雑草を抜く作業に没頭することになった。
***
そして、野菜が採れた。
ニンジン、ジャガイモ、キャベツ、タマネギ…。
どれも大きく、色が良かった。
「久しぶりに普通の野菜
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