第六話 動く鎧のフルコース
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っと大きくて立派な動く鎧を見て驚いた。
「何があったんだ?」
「やっぱり魔術師がいたの!?」
「ううん。魔術師なんていなかったよ。」
「えっ?」
「動く鎧は生き物だったの。」
「どういうこと?」
「これ。」
そう言ってファリンは、動く鎧の中の軟体生物を見せた。
「二重構造になってて、そこに軟体生物が入ってる。」
「うわ…。」
「普段はもっと大人しくて、危機を感じた時にのみ攻撃してくるのが普段の状態なんだけど。今は、運悪く産卵時期だった。」
「さんらん? 卵で生まれるの? アイツら…?」
「そう! 動く鎧は卵で産まれるんだよ! さっき投げた盾に卵がついてたんだよ!」
ファリンは、大興奮しながら語る。
「今まで誰も気づかなかったんだ。みんな魔術で動くただの鎧だって思い込んでたんだ。このことを発表すれば業界は震撼するわ! 兄さんも大喜びする!」
「……ファリンって、ライオスと同じで魔物の話になると早口になるよな…。」
「よしなよ。」
「ねえ、センシ。鎧は食べられないけど、この中身はどう? 食べられそうだよ。」
「はああ!? こんなわけの分からないもん食べられるはずないでしょ!」
「どんな食べ物も、最初の一口はわけの分からない物だよ?」
「今やることじゃないわよ!」
「……やってみるか。」
っとセンシが言った。
「ありがとう、センシ!」
「イヤーー!」
「初めて触る食材だから、自信は無いが…。」
「猛毒とかだったらどうするの!?」
「強力な毒のある生き物は、隠れたりしないと思うよ?」
毒を持つと言えば、例えばバジリスクだ。バジリスクは、分かりやすく蹴爪に毒がある。それにキノコ系も派手な色だったりする。
「この裏側…。手でこじ開けようとしてもびくともしないけど、この部分を刃物で切ると、殻を閉じられなくなった。たぶん、これが殻を閉じるのに必要な閉殻筋。つまり貝柱のようなものなのかも。」
「貝か…。」
センシは、動く鎧の隙間から垂れている軟体生物を見てしばし考えた。
「よし、決まった。鎧から身の部分を外してくれ。」
そして全員で刃物を使って、動く鎧の軟体生物部分を外した。
そのうちの一つを小鍋に水を張った中に入れて、砂抜きを行おうとしたが、軟体生物は水の中で少し暴れて、やがて溺れて動かなくなった。
「溺れた。」
「さすがに水で砂抜きは、不可能か。そもそも砂抜きが必要なのかどうか、中身を開けてみるか。」
そう言ってまな板に軟体生物を乗せ、包丁で内臓部分を切って取り出した。
「内容物が気になるので、内臓はとっておく。」
「ちょうだい。」
「ダメ。」
欲しがるファリンをマルシルが
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