第六話 動く鎧のフルコース
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らおら! 鎧ども! こっちに集まってこいや!」
すると鎧達は、マルシル達の方へ動き出した。
その隙にファリンが反対側の扉へとゆっくりコソコソと近づき、扉をソッと開けた。
「えっ…?」
そこにいたのは、魔法使いでもなんでもなく、外にいる鎧達よりも少々大きくて立派な形をした動く鎧がいた。
「えー、扉の向こうにも鎧!」
ファリンは、扉を後ろ手に閉めながら入った。
すると立派な鎧がゆっくりと動き出した。
「このタイプが動くのは初めて見た…。マルシル達は…、無理ね…。」
外の音からとてもじゃないが助けを呼べる状況じゃないと判断した。
「どうしよう…。」
ファリンは、杖を握りながら考えた。
ファリンは、動く鎧の動きに注意しながら、兄・ライオスからもらった知識を思い出そうとした。
その時、動く鎧が剣を振りかぶった。そして周りにあった木の根を切り裂き、ファリンは、その剣圧に少しひるんだ。
「くっ…。」
ファリンは、よろけながら、足下に落ちていた小石を拾って、投げた。
すると…、動く鎧は、持っている盾では防がず、なぜかもう片手で持っている剣で石を弾いた。
「えっ?」
その動きは、まるで盾を庇っているかのようだった。
ファリンは、動く鎧の攻撃を回避しながら考えた。
そして見た。
盾の裏に、何かがあるのを。
「あれは…。」
まん丸い繭のようなもの。
どこかで見た覚えがある。
それは……、カマキリの卵…、卵鞘!
「あれを庇って…、ってことは…。」
ファリンは確信した。
動く鎧は、生き物だと。
からっぽの鎧であるにも関わらず、攻撃対象を見るように動く頭部、そしてバラバラにされても元の位置に戻す行動。
そして一番は、この立派な動く鎧が守っている、卵!
誰に命じられているわけでも無い。ただ生き物の本能に従って卵を守ろうとしているだけ。
ならば、倒す方法はある。
そして……、食べられる!
ファリンは、自分の身体に興奮で力が湧き上がるのを感じた。
***
「ファリン! まだなの!?」
外の方からマルシルの声が聞こえた。
ファリンは、一定の距離を保ちながら、動く鎧を倒す方法を考えた。
内臓傷つける。
体液を流させる。
窒息させる。
餓死。
どれも時間がかかるし、現実的ではない。何より動く鎧の動く原理すら分かっていないのだ。
スライムのように不定形なのか、それともハチやアリのように女王がいて内部から群れが操っているのか、それとも奥の方に何かが潜んでいるのか。
しかし、不定型な生き物にしては
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