第六話 動く鎧のフルコース
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走れ、マルシル!」
「そんなこと言ったって…!」
マルシルが指さす先には、無数の動く鎧が扉の前に立ちはだかり、そしてこちらに迫ってきていた。
「完全に行く手を塞がれてるんですけど!」
「なんだ、こりゃ。」
「ちょちょ、これダメだわ! 一度引き返して体勢を整えましょう!」
そして、ファリン達は、元来た道を引き返して扉を閉めた。
「どうも今日はしつこいわね…。何か機嫌を損ねたのかしら…?」
「まさか。あいつらに体調や気分なんて存在しないわ。ただ与えられた命令通りに動くだけ。」
ファリンの言葉にマルシルがそう言った。
「そうは言っても、操ってる奴なんているのか?」
「どこかにはいるんだよ! 鉄の塊の鎧が動くなんてありえない。」
そう話すマルシルとは反対に、ファリンは考え込んでいた。
何かが引っかかるのだ。
「でも、今日の動く鎧の動きはおかしいよ。いつもは近づく人間を攻撃するだけなのに…、今日のは進行を妨害してきてる。まるであの扉の向こうに行かせたくないみたいだった。」
「! ってことは、操ってる奴が近くにいる?」
「え? それって魔物なのか?」
「分からない。でも! ここまで強い魔法の使い手なんてカタギじゃないわ! とにかく、どうにかあの動く鎧達の包囲網を突破して……。」
「動く鎧の操り手を無力化するのね?」
「どうするんだ?」
「例えば…、三人が囮になって引き付けている間に、一人が扉の先に行く。これでどう?」
「待て待て。ファリン。センシ一人で行かせる気か?」
「ううん。私が行く。」
「待って! ファリン、それは無茶よ! いくらあなたが魔法を封じる魔法が使えるって言ったって…。」
「だからこそだよ。無茶は承知の上。センシは、魔法使いとの戦いはたぶん不得意だと思うから、私が行くの。」
「相手が魔物ならば無理ではない。」
「人だったら?」
ファリンがそう聞くと、センシは黙った。
「決まりだね。三人ともお願い。」
ファリンは、そう言って微笑んだ。
マルシルは、ハラハラとした様子でそんなファリンを見ていた。
***
「正直ね…。気配を消すのが得意なチルチャックでもいいって思ったよ。」
「俺は大して戦えないし。目や耳があるわけじゃないんだから、生き物じゃない相手に気配の消し方なんて意味ないだろ?」
「目や耳がない……。」
その時、ファリンの脳裏に、頭の部分をきっちりと元に戻す動く鎧の動きがよぎった。
「……?」
「準備はいいか、マルシル。」
「ええ。」
「行くぞ。」
ファリンが釈然としないまま、作戦が決行された。
扉をバーンっと勢いよく開ける。
「お
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