第五話 大コウモリの唐揚げと、マンドレイクのかき揚げ
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するとカチャリと音が鳴った。
「開いたよ。」
チルチャックは、宝箱を開けて見せた。
「油は? どうやったら取り出せる?」
「そこまでは知らん…。ここが噴出口になってて、この引き金が引かれて油が出る。」
「ふむ…。」
するとセンシは、背負っていた大鍋を取り出した。
「では、わしが鍋を構える。お前が引き金を引き、油を出せ。」
「はあ!? イヤだよ! たぶん煮え油だぞ、コレ!」
「案ずるな。」
「案ずるわ!! 俺一度引っかかったことあるけど、即死じゃないぶん、酷いぞ!!」
「あれは、可哀想だったねー…。」
現場に居合わせていたファリンとマルシルが、頷き合った。
「いいから、早く。」
「〜〜〜〜!! 知らないからな!!」
そして自棄になったチルチャックが糸を引っ張った。
次の瞬間、宝箱の噴出口から、熱い油が噴出し、それは大鍋を盾にしていたセンシに当たった。
モクモクと煮えている熱い油の煙が舞う。飛び散った一滴がファリンの服の隙間に入った。
「アッツ! 熱い!」
「ファリン!」
「あー、言わんこっちゃない。」
「大丈夫だ。」
「指入ってる!!」
油をしっかりと鍋に入れたセンシの指が油に浸かっていたが、センシは平然としていた。
「ウム。180度。揚げ物に適切な温度だ。」
「あ、そういうの平気な人?」
センシは、熱いモノが平気なタイプだったようだ。
「この香り…。この味…。オリーブ油だなこりゃ。」
「嘘だろ…。」
煮え油の罠の油は、なんとオリーブ油だった。
センシが言うには、オリーブ油は比較的製造がしやすく、またこの辺りは元々オリーブの産地だったらしい。なので罠に使われてても不思議じゃないと言う。
「ともかく、これで揚げ物ができそうだ。…そうだ。」
センシは、何か思いついたように罠空間の方を見た。
「肉を切るのに先ほど落ちてきた刃の罠を使えないか?」
またとんでもないことを言い出した。
そしてセンシは、頭と翼を切り落としてある大コウモリの身体を罠空間に持って行った。
チルチャックがその後を大慌てで追いかけた。
「馬鹿野郎!! 真っ二つになりたいのか、あんたは!? ああいうのは同じところに落ちてくるとは限らないの! 俺の領分で勝手なマネするなと…。」
「では、肉を切るのはお前に任せよう。」
そう言ってセンシは、大コウモリをチルチャックに渡した。
「え……。」
「罠の扱い方はわしには分からんからな。」
「なんで俺が!?」
「料理はわしの領分なのだから、わしの指示に従ってもらおう。それが取引だったはずだ。」
「……そんなこと言ってない。」
ムチャクチャな
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