第四話 マンドレイクのオムレツ
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を倣おう。ごめんね、マルシル。」
チルチャックとファリンは、マンドレイクを採っているセンシのところへ行ってしまった。
残されたマルシルは、本を握って、トボトボと来た道を戻った。
しかしやがて、思う。
歴史の長い専門書にそう書いてあるのだから、その理由がちゃんとあるのだ。
そして自分が証明すればいいのだと。
そう思い立ったマルシルは、長いヒモを手にした。
犬はいないので、魔物に引っ張らせてやるというやり方を思いつき、準備をする。
まず、マンドレイクの茎にヒモの先を結びつける。
次に、大コウモリの巣の前に大きな輪にした反対側のヒモを垂らす。
大コウモリの巣は、糞の有無で見分けられるというのは、ライオスのうんちくだ。
大コウモリのいる巣の上にある吊り橋の手すりにヒモを通し、巣の前にヒモの輪っか来るようにした。
そして、悲鳴が聞こえない場所に移動する。
体力の無いマルシルにはきつい場所まで移動し、目標の場所に着くと、マルシルは短く魔法を詠唱した。
そして小さめの火の玉が杖から放たれ、大コウモリの巣の横に命中した。
その音に驚いた大コウモリが巣穴から次々に飛び出してくる。
「ダメか!?」
中々輪っかに大コウモリがかからない。
だが次の瞬間、一匹の大コウモリの頭が輪っかに入った。
そして…ヒモが引っ張られ、マンドレイクが引っこ抜けた。
マンドレイクの大きな悲鳴が上がる。
「抜けたっ!!」
マルシルは、成功したと喜んだ。
悲鳴は、こだまし、ヒモが引っかかっている大コウモリの耳にも思いっきり聞こえていた。
なので……。
「ちょ……、え…?」
マンドレイクの悲鳴で混乱し、空中をグルグルとメチャクチャに飛び始めた大コウモリが、やがてマルシルがいる塔の部分に向かって突撃してきたのだ。別に狙いを定めたわけじゃ無い。たまたまだ。
マルシルは、理解した。
少なくとも、大コウモリを犬の代用にしてはいけない理由を……。混乱した大コウモリがマンドレイクごとこっちに落ちてくるかも知れないのだということを。
マンドレイクの悲鳴(※かなり遠くなので影響は無い)と騒ぎ見ていたファリン達が、大慌てでマルシルがいた塔のところに行った。
「マルシル! だいじょうぶ?」
マルシルは、塔の壁を突き破り、塔の内部で絶命していた。
その横辺りの壁に、マルシルが両膝を抱えて座り込んでいた。
「あ、生きてる。」
「だいじょうぶ?」
「マルシ…、うわ! マンドレイク? 犬の代わりに大コウモリを使って…、バカだなー。」
悲鳴を上げ終えたマンドレイクがしっかりとヒモにくくられた状態で転がっていたため、ファリンとチルチャックは
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