暁 〜小説投稿サイト〜
ダンジョン飯で、IF 長編版
第二話  人食い植物のタルト
[3/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
けいただく。これが鉄の掟だ。」
「言ってる場合か!」
 するとマルシルを逆さに吊るしているツルがマルシルの身体を強く締め始めた。
「うっ…、や、やだやだやだ! 放して…!」
 マルシルが暴れたことで隣にあった巨大ウツボカズラの一つがひっくり返った。
「うわああああああああああああ!」
 そして中から、中年の男性の死体が溶解液と共に飛び出してきてマルシルは悲鳴を上げた。
「何が消化はしないよ! 食べられてんじゃん、思いっきり!」
「え? 消化機能がある植物もいるよ? そこは種類によるから…。」
「死体回収屋さんだ…。」
「ミイラ取りか。」
「ちなみに、今マルシルが捕まっているのは、皮膚下に種を植え込む寄生型だよ。」
「一番いやああああああああ!」
「動かないで、マルシル。」
 ファリンは、杖を手にして呪文を唱えた。
 素早く詠唱されたそれは、回復役でも覚えられる中距離の攻撃魔法。
 相手を切り裂くその魔法がマルシルを捕えている人食い植物の根元を切り裂いた。
 植物系の魔物は、腕が何本もあるようなものなので、それを全部相手にしていたは日が暮れてしまう。そこで狙うのは…根元なのだ。
 根元を切り裂かれて死滅し、マルシルを落としてバラバラと落ちていく人食い植物。
「だいじょうぶ?」
「あ、ありがとう、ファリン。」
「どうだった?」
「えっ?」
「これはね、シャドーテールっていってね、植物の皮膚下に種を植え付ける捕食寄生型で、骨折するほど強くツルを絡めてくるバラセリア種に比べて、対象を逃がさず殺さず捕えておく必要がある。その締め付け具合が…、動けないけど不快にならない程度の微妙なバランスをしてて……、すごく気持ちいいと思うんだけど。どうだった? どんな感じだったか兄さんに教えたいの。」
「……。」





***





「なんで、怒ったんだろう?」
「…さすがに、マルシルに同情するぜ。」
 不思議がるファリンに、少し呆れ気味にチルチャックが言った。
 ファリンとチルチャックとセンシは、両手に持てるだけの果実を収穫した。
 そして、寝泊まりできる木のウロを見つけ、そこで一晩過ごすことにした。
 多くの冒険者が利用するため、木の穴の中ではあるが、箒と小さなカマドが作ってある。しかも、後片付けをきちんとするようにと言う感じの張り紙までしてある。
 センシが火を起こし、センシが持参している大鍋に浅く水を張り、まずは、バラセリアの大きな果実を軽く蒸す。
 蒸し終えた果実のヘタに沿って丸く切り込みを入れ、少しねじる。するとヘタと一緒に種が抜けた。
 種を見たファリンは、こっそりとそれをポケットに入れた。
「ちょっと、ファ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ