第二話 人食い植物のタルト
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迷宮の二階は、一階と違い、わけの分からない作りをしている。
っというのも……。
「前々から疑問だったんだが、なんであの木の高さで地上に突き抜けないんだろう?」
「空間が歪んでるのかな?」
「呪いでできたダンジョンだからなぁ。」
城の尖塔にあたると学者達が定義しているのが二階で、その建物と周りには植物が絡みつき、とてつもない高さの木が何本も立っている。その間に吊り橋がかけられており、ファリン達や冒険者は、木の枝や倒れた木などの植物と吊り橋を渡って迷宮を進むのが普通だ。
なのだが、木に吊らされている吊り橋は、木の枝や葉が邪魔で少々歩きにくい。
背が低いハーフフットのチルチャックでさえ、顔を枝で打つほどだ。
「ぎゃん!」
「マルシル! だいじょうぶ?」
「ちょ、ちょっと…、橋の隙間につまづいただけ…。」
「ずいぶん歩いたから、疲れたのかもしれないね。野営地を決めて今日は早めに休もうよ。」
マルシルに手を差し伸べて助けた後、休めそうな場所を探して歩いた。
やがて木に空いた大きな穴を見つけた。
「木のウロ…。そういえば、昔ああいうところで一晩明かしたことがあったね。」
「あったあった。」
「その時豚のスープを作ろうとして、火傷して…。」
「……スープ…。」
「腹が減ったのか? 昼食の残りのサソリ汁なら少しあるぞ。」
「いらない。」
センシからサソリの水炊きの残り汁が入った袋を見せられたマルシルは即拒否した。
「夕食にできそうな魔物を狩ろう。」
「…ああ……。」
マルシルがげんなりした声を上げた。
「マルシル。できるかぎり希望に添えるように頑張るから、何が食べたいの?」
「……でも、魔物を食べるんでしょ?」
マルシルがそう聞くと、ファリンは顔を逸らした。
マルシルは、ため息を吐き。
「なんでもいいよ。食べられる物なら…。」
「この辺りは、どんな魔物が出るんだ?」
「ええっと…。」
チルチャックからの問いに、ファリンは、懐からライオスの愛読書を取り出して開いた。
「…大コウモリと、大ネズミ。」
「不衛生なのは、絶対イヤ! これからのために!」
「森ゴブリン。」
「亜人系は論外!」
「動く鎧。」
「金属?」
マルシルは、ファリンが読み上げた魔物の全てを拒否した。
「もっとこう、普通のはないの? 鳥とか、木の実とか!」
「えっ?」
「いるよなー。こういう、なんでもいいって言うくせに、こっちの案を出すと嫌がる奴。」
「私、そんなワガママ言ってるかな!?」
「んー…、いるにはいるけど、襲いかかってこないから、そういうのを狩るにはそれなりに準備がいるよ? 鴨がネギを背負ってくるこ
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