第一話 大サソリと歩きキノコの水炊き
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味しいとのことなので一緒に入れると良いと言った。
「この鍋では小さいな。」
ファリン達が持っている鍋を見て、ドワーフの男は、自分が背負っている大鍋を出して代わりに火にかけてお湯を沸かした。
「サソリとキノコだけでは、ちと寂しいのう。」
するとドワーフの男は、ふと周りを見て立ち上がり、商人達が軒を連ねている壁側に行って、包丁で壁から出ている根っこを切り、さらに花のように生っている藻を剥ぎ取って戻ってきた。
「ちょっと、待って! それはダメ!」
「マルシル?」
手でバッテンを作って拒絶するマルシル。
「ダメダメ、無理無理! あのさ、ここ墓場よ! 百歩譲って魔物はいいわ! でも根を張る植物はNG! 宗教的にNG! いいじゃない、サソリと歩きキノコだけで、十分美味しそうじゃん! これにしようよ、これに! だいたいあんた誰なのよ! 一体全体どういう…。」
「マルシル!」
「上だ!」
「上?」
マルシルがファリンとチルチャックの叫びで二人の方を見たとき、上から何かがたれてきた。
「!」
それに気づいたときには、ソレは、マルシルの顔に落ちてきてマルシルの顔を覆った。
「スライム!」
「動かないで、マルシル!」
マルシルは、顔をスライムで覆われ溺れた。
ファリンとチルチャックがスライムの弱点である火を使おうとした時、ドワーフの男がナイフで、スライムを刺した。
するとスライムは、剥がれ落ち、マルシルは必死になって息をした。
「マルシル、大丈夫か?」
「大丈夫、ちょっと鼻に入ったけど…。」
「スライムをナイフで撃退するなんて、すごい!」
「構造を知っていれば簡単なもの。」
ドワーフの男曰く、スライムは、人間で言う胃袋がひっくり返って消化液で内臓と頭を包んでいるのだそうだ。
そのため、獲物が吐く息を察知し、飛びかかってくる。だから大声を出してわめくとスライムに襲われやすくなるのだそうだ。
このままではとても食べられた物じゃ無いので、倒したスライムを、柑橘類の果汁を加えた熱湯で洗い、水分をよく取るか、塩で揉む混み、じっくりと天日干しすれば、高級食材となるのだそうだ。
できれば、二週間ほど絶食もさせた方が良く、乾燥にも時間がかかるので本来は迷宮では気軽につまめる食材では無いとのことらしい。
そこでと、ドワーフの男は、自分が作ったスライム干し網を取り出し、スライムを挟んで他の荷物の上になるようにして背負えるようにした。
「完成には時間がかかるが、ここに完成品がある。今日はコレを加えよう。」
「でも高級食材なんですよね?」
「かまわん。わしは、この迷宮で十年以上魔物食の研究をしている。魔物食に興味を持ってもらえることが何よりも嬉しいのだ。」
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