第一話 大サソリと歩きキノコの水炊き
[1/4]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
迷宮一階は、商人と冒険者で人の往来がある。
特に初心者の広場と呼ばれている水が湧いている開けた場所には、商人達が何人もおり、冒険者達が休息を取っている。
そこに場違いな者達がいた。
チルチャックが鍋に水を汲み、マルシルとファリンが火をおこした。
「もう少し人目のないところでやった方がいいのでは?」
チルチャックが周りの冒険者や商人達の目を気にした。
「水を使うのに、往復するのは大変だよ?」
ファリンがそう答えた。
「ねえ、本当にコレ、食べるの?」
マルシルが床に置かれた歩きキノコと大サソリを見て聞いてきた。
「他に案もないし。まずは、オーソドックスに煮てみるね。」
「オーソドックスって…。」
「あっ!」
「どうしたの!?」
「縦には切りやすいけど、横には切りにくい。…キノコ系の敵を相手にする時は、袈裟斬りや胴斬りは効果が薄いのかも。すごい、勉強になるわ。兄さんに会ったら教えなきゃ。」
歩きキノコを包丁で切っていたファリンが嬉しそうに言っていた。
マルシルは、やれやれとため息を吐いた。
そして、歩きキノコが、普通のエリンギのように縦にスライスされた。
「スライスしたら、食べ物に見える。」
「どこが?」
チルチャックの言葉に、マルシルが嫌そうに言った。
そして鍋のお湯が沸いた。
そこにファリンがボチャボチャと歩きキノコと、さらに大サソリを丸ごと入れていく。
「ちょ、ちょっと、サソリそのまま食べるの? 毒が回るじゃないの。」
「このサソリの毒は食べても害が無いよ。」
「本当に?」
「じゃあ、試しに食べてみよう。」
「えっ!」
マルシルが驚いている間に、ファリンが大サソリの尾をちぎって、尾の中間のところを噛んだ。
「……おぇー。」
そして吐いた。
「ああ、もういわんこっちゃない! 解毒解毒!」
「ちょっと待った!」
そこに男の声が聞こえた。
すると、ボロボロの斧を持ったドワーフの男がやってきた。
「サソリ鍋か。しかし、そのやり方は感心せんのう。」
「何者?」
「大サソリを食べるときは、ハサミ、頭、足、尾は必ず落とす。尾は、腹を下す。」
ドワーフの男は持っていた包丁で、大サソリの尾とハサミと頭を切り落としていった。
「腹を下すのね…。本には平気って書いてあったのに。…というか、単純に不味かった。」
それから、ドワーフの男は、実に慣れた手さばきで、大サソリを捌いていった。
身に切り込みを入れることで食べやすくなり、さらに出汁がでやすくなる。そして内蔵も簡単に取る。内臓は発効させれば良いツマミになるそうだが、素人には難しいらしい。
そして歩きキノコは、足が美
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ