161部分:第十一話 企み深い昼その三
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第十一話 企み深い昼その三
王はだ。その彼等からだ。こう話されたのだった。
「ワーグナーが帰っただと」
「はい、急に怒られてです」
「何があったのかはわかりませんが」
「そうしてです」
「一体どうしてだ」
王は怪訝な顔でだ。こう言うのだった。
「和今日は会えると思っていたのに」
「わかりません。ですが」
「あの方は帰られました」
「御自身のお屋敷に」
「そうされました」
「わからない」
今王はだ。その理由がわからなかった。それでだった。
彼とワーグナーの関係はだ。そこから微妙なものになっていった。そうしてそれがだ。亀裂となり二人の間に残ってしまった。
互いに気まずいものを感じてだ。王はビューローのピアノを聴きながら彼に言った。
「ワーグナーはだ」
「マイスターがどうされたのですか?」
ビューローはピアノを止めて王に顔を向けた。
「一体」
「いや、私はどう思われているのだ」
こう彼に問うのだった。
「彼に」
「敬愛すべき方です」
それだとだ。ビューローは素直に述べた。
「マイスターが最も敬愛されている方です」
「そうなのか」
「どうしてそうでないと言えましょう」
彼は切実な声でまた述べた。
「マイスターの今は陛下によってあるのですから」
「だといいのだが」
「違うと思われるのですか?」
「いや」
そう言われるとだ。王は否定できなかった。それはまさにその通りだからだ。
「それはその通りだが」
「ではそれでは」
「私は彼に傍にいて欲しいのだ」
ビューローにもだ。このことを話した。
「どうしてもだ。だが」
「だが?」
「それは許されないのか」
俯いてだ。そのうえでの言葉だった。豪奢な、黒檀と見事な刺繍の入れられたソファーに座りながらだ。こう言ったのであった。
「私にとって。それは」
「許されないと」
「かけがえのない存在と共にいる」
こうだと話すのだった。
「それは私には許されないのか」
「いえ、それは」
「許されるというのだな」
「私はそう思いますが」
ビューローは王にだ。悲しさを帯びさせた、だが誠実な目で述べた。
「ですから。そこまで悩まれることは」
「ないか」
「はい」
こう述べるのだった。
「愛は絶対のものです」
「それはそうだが」
「そして誰もが求め。手に入れることを許されているものです」
「私にもだな」
「人であれば誰でもです」
王に話していくのだった。
「それは手にしていいのです」
「では私も」
「そう思います」
穏やかな声でだ。王に話す。
「ですが。それでもです」
「それでもだというのか」
「はい。自分がそれをしたくとも周りが許さないこともあります」
「そうだな」
そう
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